「ぷ〜〜〜♪。」
「今、オナラしたよね、サヨリちゃん。お父さんに向けて、そこはかとなく優雅に屁をこいたよね?。屁を、、、こいたよね。」
「お尻の穴から下腹部に溜まったガスは出しましたけれど、それが何か?。生物としての自然現象に、何か問題でもありましたか。」
「いや、なんか・・・ごめん。」
「人間だって下腹部に溜まったガスを、豪快かつダイナミックにお尻の穴から出すは事ありますよね。その行為は自然現象であって、ヘラヘラと笑いのネタにされるような事象では無いと思いますけれど。」
「まぁ、確かにそれはサヨリちゃんのおっしゃる通りです。でもね、サヨリちゃんのオナラは滅多に聞ける音でも無いので、ちょっぴり嬉しかったというか、ビックリしたというか、まぁ、そんな感じ。でもね。」
「でもね?。」
「人間の中には、オナラなんて絶対にしない人達だっているんだよ。それが、かつてアイドルと呼ばれていた人達なのだよ。」
「でたぁ、妄想癖〜。」
アイドルは、オナラをしないという都市伝説
「まぁ、ここに座って話を聞きなさい、サヨリちゃん。今のアイドルは、当然ですが人間です。もう、普通に人間です。」
「当たり前です。アイドルは、今も昔もホモ・サピエンスですよ。お父さん、だいじょうぶですか〜〜〜?、しっかりしろよーーー!。この暑さで、頭の中が焼けましたかーーー!。」
「いや、80年代以前のアイドルは、人間なんかじゃありません。それはまさに、アイドルという存在だったのです。人間とは全くの別カテゴリに位置する存在です。」
「でもそれは、都市伝説の類では無くて、『テイ』ですよね。今で言うところの『設定』ですよね。」
「サヨリは馬鹿か?、馬鹿かサヨリ。さっき、サヨリちゃんは、お父さんにケツを向けてプープー星人の逆襲をしたよね。それはもう自然に。息をするのと同じような感覚で。」
「確かにしましたけれど。それよりも、お父さん。プープー星人って誰ですか?。」
「プープー星人はプープー星人だよ。それ以上でも、それ以下でもありません。嘘のような話なのだけれど、アイドルがオナラをしないというのは、お父さん世代が子供の頃には常識だったよ。付け加えれば、学校のアイドルと呼ばれる女子生徒だって同じカテゴリに分類されていたのだから。スゲ〜だろ〜。」
「何だか壮大な現実逃避のようですが、昭和の良い子たちは、それを本気で信じていたのでしょうか?。」
「信じるも、信じないも無くって、アイドルがオナラをする発想すら無かったわ。男子にとっても、女子にとっても、アイドルのプライベートはブラックボックスだったからね。従って、秀樹もひろみも百恵も淳子もミーちゃんもケイちゃんもオナラはしませんし恋愛もしない。ご飯だって食べません的な存在で行っちゃってましたよ。もしかしたら、永遠に歳を取らないと思っている子だっていたのかも知れないね。」
「歳を取らないって、それは無いでしょう、お父さん。そんなのあり得ませんって。」
「それが、そうとも言えないところが昭和なのだよ、サヨリちゃん。昭和を馬鹿にしちゃいけないなぁ。小学生の情報源はテレビだけ。大人は一切口を開かない。中学生からは深夜ラジオというアイテムを手に入れるのだけれど、いずれにせよメディアからの情報しか入らなかったからね。そもそも小中学生が、新聞なんて文字ばかりの情報媒体なんて読まないし、下衆なネタ満載の週刊誌は、本屋のおばちゃんが売ってくれない。そもそも、本を買うお金がなんて持ってない。大人にとって、完璧な対チルドレンガード体制が敷かれていたんだよ。大人達からすれば、子供を守る意味も含めてだけれど、このガード体制の方が子供の教育には都合が良かったのだろうね。壮大な現実逃避というよりも、壮大な情報隠蔽だよ。ただ一つだけ、そんな時代でも合法的に真実を知る手段はあったよ。」
「自分、それ興味あるっす。教えて欲しいっすよ?、お父さん。」
「辞書だよ辞典。『広辞苑』が僕らに色々な事を教えてくれたのさ。広辞苑には、日本語の全ての意味が書かれているからねー。最初から最後まで読めば色々と学習出来るというものさ。うーん、お父さんにとって、広辞苑の存在は、学習出来た筈だったアイテムと言うべきかな?。」
「筈だった?。」
「そもそも、広辞苑なんて値段が張る辞書は持って無かったし、持っていたとしても、広辞苑を読む事は無かったと思うよ。字ばかりで面白く無いからね。辞書を見る暇があれば、代わりにドリフやひょうきん族を見ていただろうよ。」
「なんだか格好良い感じのテイで話していますけれど、お父さん。それって、ただの文字嫌いじゃ無いですか。勉強嫌いの典型的な言い訳にしか聞こえませんが。子供の頃、お父さんは、全然、勉強をしなかったという事ですね。子供の頃は、テレビとゲームばかりしていたのでしょうね。ただの勉強不足です。だからアイドルはオナラをしないという思考回路にもなるのですよ。」
「そうとも言えるかな〜。でもね、僕はゲームなんてしてはいないよ。だってその時代、ゲーム機なんて世の中には無かったのだから。」
「そんなんどっちでも、ええわ。」
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