「台風も行っちゃったので、お散歩へ行きましょう!。」
「昨日も行ったよ、サヨリちゃん。」
「風の噂で聞いた話ですけれど、坂上さんちは毎朝お散歩しているそうですよ。」
「それ、ワンちゃんだし。」
「今日も粘るね、サヨリちゃん。さっきまで、ご機嫌でファイブスピナーで遊んでいたのに。もう、飽きたのかい?。」
「もう、アレは飽きました。お外で車を見たいです!。」
「でも、まだ電車が走っているのだけれど、『カンカン』って踏切の音が聞こえて来るけど、大丈夫かな?。」
「大丈夫っす!、お父さん。イケるっす!、今ならイケる気がする。」
「じゃぁ、お散歩に出かけましょうかね。そしたらセーター脱いでいくかい?、サヨリちゃん。」
「お外は寒いから、このままで良いですよ。」
「衣装持ちなキミには、マフラーという選択肢もあるのだけれど、マフラーのチャンスはいくらでもあるから、今夜はこのままで行きましょう。」
「ゴチャゴチャ言ってないで、とっととドアを開けて下さい。」
「はい、はい。その前に、リードをつけるからこっち来て。」
「にゃ。」
国道見学からはお約束
「今夜は自動車が少ないです。つまらないですにゃ。」
「どうしたんだろうね、サヨリちゃん。まだ、夜の10時前なのに、車の数が少ないね。」
「お父さん、今日は裏路地を通りますから。そのつもりでついて来て下さいよ。」
「ルート開拓かな?、サヨリちゃん。脱走しても迷子にならないように、事務局のまわりの地形を覚えておいてね。」
「大丈夫ですよ、お父さん。ボクは、こう見えてもしっかり者ですから迷子にはなりません。」
「そういうのに限って危ないんだよな〜。」
「何か言いました?。」
「別に。」
裏路地探索
「こういう狭い道が好きなんですよ。ウーン、落ち着く。」
「サヨリちゃんは落ち着くのだろうけれど、ここでは写真も撮れないね。そろそろ陸橋へ行きませんか?。ここでも座ってるだけみたいだし。」
「抱っこ。」
「は?。」
「陸橋まで抱っこしてよ。」
「はい、はい。」
陸橋の上は、スーパーカー見学の特等席
「陸橋に着きましたよ、サヨリちゃん。丁度ことでんの電車が着きました。踏切が『カンカン』って鳴っているよ。」
「…(警戒モード中)。」
「だからお散歩には早いって言ったのに。電車、怖いやろ?。めっちゃイカ耳になってるで。」
「行っちゃった。」
「行っちゃった。」
「電車が行っちゃいました。何度見てもアレはダメですねぇ。」
「昔はね、小中学生が挙ってこの陸橋にスーパーカーを見に来ていたんだよ。」
「スーパーカーってにゃんですか?。」
「スーパーカーというのは、フェラーリとかランボルギーニとかポルシェとかです。純国産スーパーカーとして童夢ってのもあったなぁ。そんな車が通るのを陸橋の上から待ってました。陸橋の上は、スーパーカー見学の特等席だったのですよ。」
「カメラでスーパーカーを写真撮影するためですか?。」
「今みたいにスマホもケータイも無かったからね、強いて言えば目に焼き付けるためかな。2時間粘って0台って事も珍しく無かったね。穴場は日曜日のお昼前からお昼過ぎでした。平日なら夕方ごろだったかな〜。」
「何か格好いい風に言っていますが、お父さん。単純にお金のかからない遊びだったって事ですよね。他にする事が無かったのでしょうか?。」
「…何だか寒くなって来たので、そろそろ帰ろっか?、サヨリちゃん。帰りは自分で歩いてね。」
「サヨリちゃんの好きな階段ですよ。降りたら今日は上がりませんから。真っ直ぐ降りてね。」
「ラニャ!(ラジャー!)。」
「毎回、毎回、なんで影の方歩くかなぁ。写真撮れないじゃん。」
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