2024-02-24

土曜日(ショート・ショート)

白い月

───もう、一年が経つのね……。  明るくて、賢くて、気遣いがあって、可愛らしい子……。  ぽっかりと空いたベッドに、あの子の姿を思い出す。看護師の私にとって、生と死は日常の出来事だけれど、ふとした瞬間に思い出す。あの子の笑顔と、あの子との会話を。あの子は娘の友達だった。看護の業務に私情は禁物。それは十分理解している。でも、あの子と接するたびに、娘とあの子が重なって見えた……。 ───お月様。  あの子には好きな人がいた。彼をお月様と呼んでいた。こんなに美人さんなのだから、彼氏候補なんて、あの人だけは無いでしょう? もっと身近な男を選びなさい。近くで、あなたに寄り添ってくれる人を選びなさい。残...