2024-02-25

ブログ王スピンオフ

天国にいちばん近い島

初めてのデートの夜。「あのねぇ、行ってみたい島があるの。三縁さよりさんの住む町から近い所に……」 のんが呟く。「島ですか?」 俺が答えると、のんは、慌てて話の矛先を変えた。「あ、初対面なのに、ごめんなさい……ほら、見てみて、シロクマさん!」 細くて白い指先がシロクマの姿を追っている。俺は指しか見てないけれど……。「いつか、一緒に行けたらいいですね」 今からでも、行きましょう! それが、俺の本心だった。でも俺は、その言葉が言い出せなかった。「……うん」 のんは頬を赤く染めた。 素直に自分の気持ちを伝えられたら……。でもこれが、今の俺には精一杯だった。俺たちは付き合っているわけじゃない。ましてや、...