2024-02-10

ショート・ショート

呪いのフォルダ(参)

───cursed-folder-case3(1975-04-16 05-15) 一九七五年四月十六日。 私と彩夏さやかの挙式を七月七日に決めた。 年に一度の七夕であり、彼女の誕生日でもあったからだ。知人が経営するホテルで、彩夏と結婚式の打ち合わせを終え、その足で田所たどころ博士の家に向かった。あのマシンを目の当たりにして、彩夏はどんな顔をするのだろう。それがとても楽しみだった。だがしかし、私の予想に反して彩夏の顔は不安げだった。「お願いだから、この機械の電源だけは入れないで」 彩夏は私に懇願した。彩夏の推測では、この扉は異次元への入り口だと言う。高次元なのか、別世界なのか、それとも別の時代へ...