銭湯という場所は不思議なところです。体を温め、垢を流し、心を癒してくれます。「命の洗濯」という言葉がピッタリの場所です。しかし、幼少の頃、銭湯が大嫌いな時期もありました。湯船に長く浸かってられなかったり、退屈だったりというのがその理由です。
ですが、歳を重ねるにつれ、銭湯への恋しさが募るようになりました。底冷えの夜なら尚更です。恋人たちが集う聖夜でさえも、「今夜はクリスマスか…じゃぁ、銭湯へでも行こうか」。そんな気持ちにもなるものです。
サンタクロースの帰り道。どこかの国の銭湯で冷えた身体を温める、サンタとトナカイの姿がサウナの中で浮かんで見えるのも不思議です。
日本での風呂の始まりは6世紀。聖徳太子の時代です。中国から渡来した仏教の教えの中にある『沐浴の功徳』により広まりました。現在の銭湯のスタイルになったのは大正時代。時代劇の影響からか銭湯のイメージは江戸時代からと思われがちです。しかし、当時は混浴だったので根本的に別物です。すいません…ちょっとタイムマシン借りて来て良いですか?。
ケロリン桶の誕生(1963年)
昭和に入り、東京オリンピックの前の年。1963年(昭和38)年。私にとって銭湯に欠かせないアイテムが湯けむりの向こう側で誕生しました。レモンのように黄色い桶。そう、ケロリン桶です。
懐かしいけれど今も健在。私にとってケロリン桶とはサザエさんのような存在です。広告目的で作られた桶ですが、子供が蹴飛ばしても壊れない驚異的な強さから永久桶とも呼ばれています。ケロリンの文字もキクプリントと呼ばれるプラスチックの中に印刷されているので文字が消えにくい仕様です。
昔からなんとなくですが、この桶広告だよね?、普通に配布品だよね?、絶対非売品だよね?と勘ぐっていましたが、メルカリで中古品では無くAmazonで普通に販売されていたのには面食らいました。
へぇー、あるんだぁー。ケロリン桶って。
そんなケロリン桶。実はとある事情からネットで話題になっています。レモンサワー問題です。
居酒屋でケロリン桶に入れたレモンサワーが大受けしました。みんなの飲んで楽しい。それに加えてインスタ映えして安い!というのがヒットの理由です。
個人的に結構な事だと思っていました。しかし先日、ケロリン桶の会社(富士めぐみ製薬)から注意突起が自社サイトよりアナウンされたのです。ケロリン桶が食品衛生法上の食器ではないため安全性の保証が出来ないという理由からの注意突起です。
冷静になって考えてみればそれはそうなのですが、居酒屋さんが知る由もありません。若い世代に喜ばれていてケロリンの名前も売れる。メリットありありなだけに、食器としてのケロリン桶があっても良いかなと思う今日この頃です。
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