就寝前、布団の上であぐらをかいて座っていると、わが家の猫さま(以下、サヨリちゃん)は、私の足の上で寝る準備に入る。というか…寝ている。それ自体は毎晩の事だが今夜は目が冴えて眠れない。
爆睡しているサヨリちゃんの背中を撫でていたら、抜け毛が妙に気になってきた。背中の毛を引っ張るたびに毛が抜ける。空っぽの灰皿の中に抜けた毛を入れていたらいっぱいになってしまった。それを手のひらで丸めると、大きな猫毛団子が出来上がった。
ん?。
こ…これは猫毛フェルトの材料やがな…。
猫毛フェルトとは、猫の抜け毛で作る猫の人形の事である。猫なのに人形って、もっとこましな言葉はないものだろうか?。
その言葉はおいおい探すとして、本来、猫フェルトの材料は猫の抜けた毛を集めて水で洗い、柔軟剤で仕上げたものを材料として作る。猫愛好家の中では、密かに流行っているらしく専門書も販売されている。
猫フェルトについての簡単な知識だけは持ち合わせていたので、抜け毛を洗う工程をすっ飛ばして猫の形にしてみると、小さなネズミが出来上がった。ネズミに見えるが猫という設定にしてサヨリちゃんを起こす。とりあえず、本人には見て欲しかったからだ。まぁ、こどもが親によくやる、
「みてみて!。」
という行為と大差は無い。軽く不機嫌な空気を出しつつも、目の前にある自分の匂いを放つ小さな物体に興味津々なサヨリちゃん。
なんだぁ?。
お前、なんだぁ?。
って感じで小さなネズミ…猫を凝視しつつ緊迫した雰囲気に包まれると思いきや。そのままそっぽを向いて寝てしまった。我ながらいい感じのナニが出来たと思っていただけに、彼の行動が些か寂しく感じた夜だった。
近いうちに大きいナニを作ってリベンジしてやろうと思う。夏季期間中、抜け毛には全然不自由しないのだから(笑)。
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