「ボクの招き猫ですね、お父さん。」
「そうだよ、サヨリちゃんの招き猫だよ。」
「何だか良い感じに出来ましたね。」
「そんな気がしているのだけれど、色を塗ったら台無しになりそうな気がしてならないんだ・・・。」
「大丈夫ですよ、お父さん。そう言いたい気持ちは山々ですけど、お父さんって色を塗るのは初めてでしたよね?。」
「んだ。」
「んだ。」
ダイソーの石粉粘土で招き猫、失敗への道のり
造形編
「これは、さっきの写真とは違いますね。ツヤツヤしたというか整ったというか・・・。いったい何をしたの?。」
「鉄のやすりの後に紙やすりを掛けたんだよ。」
「良い感じに仕上がりましたね。あっ、後ろ足も付けたんですね。」
「足はこのままでも良いかな?。って思ったのだけれど、足を付けてみました。デヘっ。」
「デヘっ、じゃねーよ。今回の招き猫にこだわった点はどこでしょう?。」
「まず、イラストに忠実に顔を作ったよ。」
「確かにイラストのまんまですね。」
「それと、お尻をぷりっとさせたんだ。キミ、気づいてないとは思うけど、お尻がプリッとしているんだよね。」
「失敬なっ!。ボクのお尻はそんなにプリッとしてませんよ。」
「最後は背中の肩甲骨。前々から思っていたのだけれど、猫の肩甲骨は魅力的だよね。なんど見ても惚れ惚れするわ。」
「ボクは一度も見たことがありませんけど、そんなに格好いいの?。」
「一部の猫好きだけにしか分からない部分かも知れないね。さて、着色に取り掛かろうか。」
「ボクの分身をお願いしますよ、お父さん。でも・・・嫌な予感しかしない・・・にゃ。」
色を塗ったら台無し
「にゃんですか!。ボクはチョコレート細工ですか?。ってか、写真撮影してないっしょ?。」
「やっぱりこうなっちゃったか・・・。ショックのあまり写真撮影忘れました。もっとお上品に着色しようと思ったんだよね。でもね、」
「でもね?。」
「一発目で失敗を確信したよ。思いの外、ドベって絵の具がついちゃった。」
「ついちゃったじゃないわ。この状況、いったいどうしてくれるんだい?。」
「軽くサヨリ姐さん混ざって来たね、サヨリちゃん。どうもこうも出来ないよ。最初からやり直し。」
「最初からって、出来るの?。」
「頭の中で形が理解出来たから、次からは量産可能だよ。同じサヨリちゃんを沢山作って、色々と色を塗ってみるわ。そのうち答えが出るでしょう。」
「これで相当な時間が掛かったんでしょ?。そんな簡単に出来るのかなぁ?。」
「出来るっしょ。」
「もしかして・・・。」
「そう、もしかして。」
「シリコン登場ですか?。」
「デヘっ。」
「デヘっ、じゃねーわ。」