白い猫
───僕は毎朝、電車の中で彼女を探す。 初めて彼女を見たのは高一だった。同じ時刻、同じ車両に彼女は乗っていた。名前も知らない彼女の姿。それを探すのが僕の楽しみになっていた。高3になった今でも続いている。見てるだけ。それで幸せ。もう、立派な変態さんだな……僕は。とはいえ、この生活も高校を卒業すれば終わってしまう。告ることすらできないだろう。でも、それでいい。あんなに可愛い彼女である。彼氏がいるのに決まってる……。 春休み、夏休み、冬休み。僕はそれが嫌いだった。だって、そうだろ? 何日も彼女の姿が見られない。高校最後の夏休み。窓越しで空が荒れ狂う。僕は二階の自室から、強風で流れる雲を眺めていた。今...