声砲と絶叫!山のオミヤにはご注意を!

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桃の実
雑記・覚書き

───山から無意識に持ち帰ったオミヤの話。

野良犬、野良猫、猪と狸、ハクビシンに毒蛇マムシ…ホトトギスさえずる桃畑は毎日がアミューズメント。目撃情報に華が咲く。そこにUFOや幽霊の出番は無い。大自然は常に危険と隣り合わせ。こいつらの方がずっとヤバい存在。そして、桃畑の敵は獣だけじゃない。ノミ、マダニ、スズメバチ、ゲジゲジ、ムカデと害虫の情報にも余念はない。国家レベルの作戦議会中、招かざる客が現れた。

───そこにムカデおるやん。

15センチほどのムカデが排水溝の脇で日向ぼっこ。しゅごい…これに噛まれたら地獄やな…。女性なら絶叫しそうな出で立ちだった。女性の絶叫なんて一度も聞いた事ないけれど。

4億2000万年の歴史を持つ大ムカデに逆らわぬよう、遠回りするとスズメバチが頬を掠めた。ここは野生の王国か?、条件反射に背中を反らす。スズメバチ同様に、その姿勢が命取りになったりもする。若いお方には分かるまい。とは言え簡単な話である。歳を重ねるだけで、そのうち分かる。

───ぎっくり腰だって侮れない。

ヒヤリハットの向こう側、話題は熱中症へと移行する。全身を合羽で覆いゴーグルにマスク。さしずめ冷暖房設備が整わないアイアンマン。汗ダクの中で熱中症の自慢話は逆に辛かった。

───水分補給で本日もご安全に。

しっかりと汗を流した帰り道。今日絶対に立ち寄らねばならない場所があった。愛猫サヨリの猫砂が切れたのだ。つまり、ホーム・センターでお買い物。それが次のミッションである。ついでにカロリーメイトのメイプル味を探そう。スーパーで探しても無いんだよね、メイプル味だけ。

───あったあった、メイプル味。

右手に7リットルの猫砂、左手に10個のカロリーメイトを鷲掴み、ご機嫌さんでレジに並ぶ。もう少しだよサヨリさん。父さんは、このレジでお金を払ったら帰るから。地球はお前に任せた。

───ヒューストン、すごい渋滞だ!。

おじさん、おじさん、どこ行くの?。バーベキュー?、それとも家族と楽しいキャンプかい?。山のような買い物に軽くイライラしていると、僕の背後に行列が出来た。3、4人は並んだな。

───アギャ〜!!!。

背中越しで女性の悲鳴が耳をつんざく───それは紛れもなく砲声だった。騒然とする店内、強盗か?、不審者か?、様々な可能性を巡らせる。その答えはどれでも無かった。彼女は僕を指さし離れてゆく。

───お…オレ?。

人生で初めて絶叫され、僕一点に注目が集まった。ごめんなさい、ごめんなさい、あぁ…なんか知らんけど…ごめんなさい。

───パシッ!。

僕の背中を叩く見知らぬ男。僕の背中から弾き飛ばされた小さなムカデ。そのゲジゲジは彼の靴の下で息絶えた。

───山の土産にはご注意を!。

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