長編小説未経験の人類代表ただのおっさん原作。のんちゃんのブログ王で反響が大きかったエピソード。それが〝007 ゆいとのん〟でした。女子高生視点描写に注目が集まったようです───アイツの背後にゴーストライターがいるらしい……そんな噂が広がったとかなかったとか。まことしやかにリアルな世界で囁かれました。
どうやって書いた? あれ。ほんと、あれ。どうやって書いたのでしょう? もう一度、あれを書けと言われたら、再現できる気がしません(汗)
でも、一発書きではありません。何本も書いて相棒に読んでもらいました。その中の一本目。それを今回は掲載しようと思います。本作と違って設定も別物です。でもこれが、ゆいの原点になりました。危機的状況で女の人が愚痴ったら? これが出発点になりました。
もし、地球が崩壊すると知ったとき。女の人はどんな愚痴を吐くのだろう……。漠然としたイメージからスタートしたのが、ブログ王(人類滅亡編)のせいこママです。ゆいと違いせいこママは大人の女性です。コレがゆいになったんだ……そんな感覚で読んでいただければ、面白いかなと思います。
以下、原文そのままで公開します。誤字脱字もそのままに、表記ゆれという言葉すら知らなかった当時の文章です。なので、細かいところには目をつぶっていただければ幸いです。記録ということで読んでくださいね。そうそう、今日もサヨリは元気ですよ(笑)
それでは張り切って、どうぞ。
せいこママ(仮)
クソだった。
これまで出会った男……ぜんぶクソ。体だけが目当てだった、あたしの。笑いながらあたしに声をかけて……すぐにあたしをホテルに連れ込んで……しばらくしたら別の女。そんなのばっか。バカみたい……あたし。だからすぐに別れてやった。そんなのばっか。バカみたいだ……あたし。もう、どうでもいい。イケメンなんて……もう、うんざり。
地球に隕石がぶつかるんだってね。ざまぁって思ったよ、あたし。あの男どもの泣きっ面……見てみたい。あのニュースの後……電話があった。元彼から。あたしに会いたいって……バカじゃない? でも少し嬉しかった。だから会ったんだ。会った途端に抱きつかれた。キスされた。バッカじゃない?
あたし……拒否った。全力で拒否してやった。こいつ……キモいし、キショい。握りこぶしで殴ってやった。生まれて初めてのグーパンチ……でも、なんで? あたしのグーがとても痛い。ジンジンして……グーが熱い。それでも何発かおみまいしてやった。そしたらアイツ、こう言ったんだ。
「おれの最後の想い出に」
って。
めまいがして、吐き気した。だから、思いっきりアイツの股間を蹴り上げて、走って帰ったんだ。あたし。
お化粧して、おしゃれして、淡い期待を抱いたりもして……アイツのところに行ったのに……。なのにもう───最悪。お前は、地球もろとも消えてなくなれ。男なんて消えてなくなれ。そう思った。
部屋に戻ると、テレビも、ラジオも、ネットも、ぜーんぶ。隕石の話ばっかだった。最悪の気分で最悪のコンテンツ。イライラした。だから冷蔵庫の中。わずかに残ったビールを喉に流し込んだ……イライラする。何しよう?。クリスマスまで……ひとりなの?……あたし。
明日がクリスマスだったら……どんなによかっただろう。あたしの人生、さっぱりするもの。キレイさっぱりリセット出来るもの。クソな人生が終わるもの。朝まで何して過ごそう。ビールで頭が揺れてるの? それとも怖いの? 死ぬの? ボーッと眺めたスマホのお気に入り。あれ? この子? あたし思い出した。
───この子、元気かな?
去年だったか、教えてくれたの。女子校通いの妹が。
「ねぇちゃん、ねぇちゃん。これ、ドラマよりも面白い(笑)」
それ、高校生のブログだった。コメントで、じれったい恋愛やってるらしかった。
「傍から見るとラブラブなのに、本人達は気づいてないのよ。今どきよ、都市伝説じゃないのよ、これ! そこがリアルで面白いのよ」
そう、妹が言ったんだ。
だから、あたし読んでみた……ブログ。ちょっと変わった文章で、ちょっと面白いなと思って読んだ。きっと、この子はTシャツだ。誰の袖も通ってないTシャツだ。誰の汗も涙も染みこんでない……真っ白なTシャツ。あの頃も、心、弱ってたんだよね……あたし。だから……無垢な男の子に惹かれたんだと思う。いつだって、心、折れちゃってるから。あたし。へんな男ばかりに……つかまっちゃってさ。
妹の言ったとおり、コメントでラブコメやってた───まだまだ、子どもね。そのとき、そう思った。あたし……。でも、何だか羨ましかったんだ。あの純愛。だから、しばらく読んでいた。あんな頃、それがあたしにもあったんだ。あったはずなのに…汚れちゃった…クソ男どもめが……。
───あの子、元気かな?
時間もあるし、暇だし、気になるし……あの子のブログを開いてみた。最後のご挨拶が書かれていた。あたしの心、鉄のようになっちゃった。悲しい……ね。
あの子と彼女が気になった。コメントへスクロールした。あたし、泣いちゃった。あのときの仲間……いるんだもん。泣いちゃうよ。
そんなあの子。彼女のとこに行くの? 子どもひとりで大丈夫? ケガしない? 危ないよ。近くにいたら、あたし、いっしょに行ってあげるのに……。あの頃の名前でコメント入れたんだ。あたし。この子になにか……してあげたくて……。
名前:せいこママ:投稿日:20xx/12/4(x) 23:05:13
おひさー(笑)
あたし、和歌山。
KAGUYAに参加表明するわ。
水と食料、準備しておくから、必ずあたしのところに寄っていってね。だいじょうぶ。絶対、必ず、彼女に会えるから。必ずよ、待ってる。車とか自転車とか、移動手段も何かを探すわ。ママに任せて(笑)
残った時間。わずかな時間。アイツらなんかに使うなら、あんな奴らに使われるなら、この子にために使ってあげる。だから早く来て――準備して待ってるから……あたし。でも少し羨ましいな。
〝のん〟って子。
コメント
せいこママ、これっきり…は残念ですね。人類滅亡しない世界でも、どこかで登場したらいいのになぁと思います。
そうですね(笑)
頭の中でキャラは固まっているので
ひょっこりどこかで登場するかも?