───命を奪い、その命を大地に返す
それは、数億年に渡り、日々繰り返された自然の摂理。我々生物の歴史はウンチの歴史と言っても過言ではありません。色、形、柔らかさ。それらの要因から健康状態を知ることさえ可能なのです。そして今日も、僕はスーパーへと足を運ぶ。愛猫サヨリの猫砂を求めて。
ガイアの定理に従い排泄物を処理する行為。それを続ける事で、ある種の境地へと至ります。ねこ砂の凸凹を見たらどこにウンチ埋まってるか。そんなの全てまるっとお見通し。
猫の世話は功徳なのです。
───にしても、猫砂のお値段が生活を圧迫させるのも悲しい現実
サヨリさん御用達の猫砂は、ライオン「ニオイをとる砂」。様々な猫砂を試した結果、辿り着いた終着駅。性能とお値段のバランスが良い猫砂である。かれこれ4年ほどライオン一筋で浮気などしない。しかし、コロナ禍で状況が変わる。ワンコインでさえ厳しい月末を向かえる事も少なくは無い。
サヨリさんのお刺身だけは削れない…。
───スーパーじゃ厳しい、ホームセンターなら安いかも
移動距離が倍以上になるのだけれど、僕はホームセンターコーナンへ価格調査へ向かった。100円くらい安くならないかなぁ〜。期待を胸に外へ繰り出す。曇天の風が痛い節分の日の出来事だった。
固まる猫砂、その値段にこちらが固まる
広いコーナンの駐車場を抜け、自動ドアを通り、向かって右側にペットコーナーがあった。真っ先に目に飛び込んだのはちゅーるだった。マグロ、カツオ、チキン、ヒラメ、サーモン、ズワイガニ。ちゅーるを見ているだけも楽しめる。猫バカだ。
───今日は、このちゅーるをですね、お前らにおみまいするぞ、この野郎!
危ない、危ない。ちゅーる買って帰るところだった。本丸は猫砂。ちゅーるはまた今度。まだ、ストックもあるし。
棚に並んだ猫砂の主役は、やっぱり、ライオン「ニオイをとる砂」だった。視界に入る最も目立つ場所に置かれていた。スーパーよりも50円ほど安かった。それだけでありがたい。
ニオイをとる砂を一度掴んで手放す。
一段下にコーナンオリジナル「固まる猫砂」が置かれていた。ライオンの猫砂とコーナンの猫砂をマジマジと見比べる。主成分はベントナイト、消臭剤、抗菌剤。容量も5リットルで同等だった。
なのに価格はライオンの半分以下。
───固まる猫砂の前で固まった
目から鱗どころか、縁側までごっそりと落ちた。同性能ならこっちだろ。その価格が魅力的。中国製以外は完璧だと思われた。安かろう悪かろうの見極めが難しい。
───試してガッテン、200円だし
僕は一袋を購入し、コーナンを後にした。大丈夫か?、これ。期待半分不安半分。不安になっても状況は変わらない。あらゆる最悪を想定しつつ、気楽に構えてサヨリの元へと戻った。
手間暇かけた呪いのサービスのお帰りです。
サヨリはキョトンとした顔で僕を睨む。グシャグシャと頭を撫でてからトイレの掃除。さて、コーナンの性能とやらを見せてもらおうか。
固まる猫砂の袋を開き、猫のトイレに猫砂を追い足すと、ブワっと砂煙が立ち上がる。優しくしないとこりゃ堪らん。トイレの猫砂を美しく整えると、のっそりとサヨリはトイレの確認をし始めた。
───ガシガシ…ガシガシガシガシ…
いつもそうだ、いつだってそう。
随分な勢いで猫砂を掘り始める。真ん中に大きな穴を掘り、その上に座り、僕にガンを飛ばしながら用を足す。どうして猫はナニの最中、いかにも出来る男のような顔をするのだろう。言葉も無いままに、意識高い系から放たれる、シャーっという響きだけがその場を支配した。
しばしの沈黙の後、ガシガシ…ガシガシガシガシ…。砂煙を上げながら、掘った穴を豪快に埋め戻す。トイレの周りは猫砂が散乱。それもいつもの事である。用が済んだら片付けよう。片付けさせて頂こう。
トイレが終わり、熱めのお茶を飲みながら刻を待つ。頃合いを見てから猫砂の確認に向かう。サヨリから放出された水分は、猫砂と融合し固形物へと姿を変えた。
───ヨシ、イケる!
しばらくコーナンの猫砂を使ってみようと思う。安いは正義。問題は気温が上がる夏場である。猫のオシッコは鼻が曲がるほど強烈だ。夏を乗り越えてこその猫砂。
夏をあきらめて にならないよう切に願う。
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