小さな厨房、香ばしい香り、焼きあがる朝の顔…。外はカリカリで中はふっくら。目で見て、鼻で感じ、舌で酔いしれ、脳で喜ぶ。パン屋カテゴリにおいて、永遠のセンターと言えばメロンパン。どこのメロンパンも実に美味い。一口食べた瞬間から始まる食べ終えるまでの至福の時間。口からは涎が、胃からは胃液、脳から溢れ出すドーパミン。BGMはヘビーローテーションに決まってる。
AKB48が国民的アイドルと呼ばれていた2010年(平成22年)。前田敦子と大島優子でツートップなAKB黄金期。僕の推しはAKBじゃ無くてメロンパン。焼けた小麦の香り、小さな厨房、のぼりの文字には『6代目』。店の名前はデイリーヤマザキ六条店。そこは現場への途中に位置するコンビニ。一度食べてからは病みつきになり、仕事環境が変わる8代目までお昼ご飯は大体メロンパン。うどんもパンも材料は同じ。そういう事です。
時は流れて10年桜…。事務所のドアが開いた瞬間、「100代目メロンパン、食べに行こう!」って…君は…一体どこの組長だい?。
デイリーヤマザキの焼きたてメロンパン2021
AKBの勢いさながら。僕は相当な勢いで焼きたてメロンパンを推していたらしい。知人はそれを覚えていたらしく、メロンパンで僕を釣ろうとやって来たのだ。残念ながら僕は過去の恋愛は「上書き」するタイプ。「名前を付けて保存」という女々しいマネはしない。久々のフレーズに甘酸っぱさを感じるものの、今の推しはマルナカの焼きそばちゃん。この気持ちを今は大切にしたい。でも、おごりなら考えてもよろし。さぁ、どうする?。
焼きたてメロンパンと10年ぶりの再会
とは言うものの、昔のね、アレだ…ナニに会うのは軽く緊張もするもので、「そこのデイリーまだあるの~?」とか「コロナだからパン焼いて無いんじゃないの~?」とか。言うよね、普通。ところがどっこい、敵もさるもの引っ搔くもの。事前調査は怠っていなかったようで「おぅ、デイリー見て来たから大丈ブイ!」って。用意周到だな…お前ルパンか?。
かれこれ10年ぶりになるのかな?、六条のザキヤマ。昔はもっと活気があったよな、店員さんも3人が常駐してたよね。おじさんと、おばさんと、若い女の子はヘビーローテーションで入れ代わりで立ち代わり。今日のレジはお独り様だけれど、もう、パン焼いてないんじゃね?。ほんとに見て来たのかよ、ルパン。
少し弱腰で店に足を踏み入れると…あった、あった。ありました。焼きたてメロンパン。「いや、あいつがどうしても寄りたいって言うから…」とか「久しぶりだね、元気だった?」とか「俺の事、誰だか分かる?」とか色々とメロンパン相手に浮かぶものだと感心しながら、僕が選んだのはノーマルじゃなくてホイップの方。他人のおごりなのだから遠慮などしないし、遠慮などする筈も無い。高い方のを頂きます。
メロンパンは無印になったけれど、味は懐かしい昔のまま
6代目、7代目、8代目。三代に渡り通い続けたデイリーヤマザキ六条店。10年の時を経て再会したメロンパン。一切れ口に含むと広がる懐かしい甘さ。糖分が血管を通じて全身に行き渡る感覚も同じ。いま、俺の血を舐めたら甘いんだろうなぁ~、毛細血管すらほんのりと甘味。とか思いながら、腕の隙間からパンを狙う愛猫を肘で華麗にブロック。
サヨリさん、何度も言うてるけど、これ、食べたらアカンて、死ぬよ。普通に虹の橋を渡りますよ。ついでにおしっこ甘くなりますよ。その目はやめろ、やめてくれ。信念が揺らぐから。メロンパン食べたらモフモフしてあげよう。
本物のメロンパンは二種類の味で出来ています。表面はサクサクでガリガリなビスケット生地。中はしっとりしたフワフワのパン生地。デイリーヤマザキの焼きたてメロンパンはその両方を兼ね備えています。ツンとデレとのギャップがたまらない。そして菓子パンの領域を踏み越えた甘さも見逃せない。「さてはお前、お菓子だろ?」そんな突っ込みを待つ姿勢への個人的な評価もすこぶる高い。
それは革命で覚醒でメロンパンの進化系。その上にウェディングカラーのホイップ要素が加味されるのだから早くお家に帰りたかった。「なんだっけ?」、「仕事だっけ?」、「明日で良いんじゃない?」、「まだ帰らないの?」、「早く食べないとメロンパン…伸びるよ」。少しぼやいてみたのだけれど、結局、仕事が終わるまで帰る事は出来なかった。何が言いたいのかと言うと、次は焼きたての時間にフライングゲットしてやる!。
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