大阪風、広島風、ソースに塩。全国のご当地メニューを加えると、そのバリエーションは無限大。縁日に一味添える露店メニューの定番と言えば…。そう、焼きそばです。
体に野菜が足りぬと感じると、冷蔵庫の残り野菜を刻んで焼きそばを作るのも不思議です。味付けにはオタフクソース。これさえあれば失敗はありません。香ばしく焼けたソースの香りが食欲をそそります。讃岐うどんには鎌田醤油、そう言う事です。
この日のお昼は時間が無くて、マルナカのおにぎりで済ませるつもりでした。スーパーの惣菜は半額で買うもの。定価で買うなどあり得ない。おにぎり以外の選択肢など無かったからです。なのに、魔がさしました。『1/3日分の野菜が摂れる』の文字に目が眩んだんです。
だってそうでしょう?野菜は大事だし焼きそばも好き。かつお節と青のりの色彩が…たまらない。それがたとえ美味しくないと分かっていても、この衝動を僕には止められなかったのです。本当に…僕は…どうかしていた…。だったらほっともっとが買える値段。
でも、この選択は間違っていませんでした。陳列直後の焼きそばの味は縁日そのものだったんです。チョットだけ、全員集合の風味がそこにありました。
マルナカの惣菜焼きそばの味は昭和風味(個人の主観)
良質な焼きそばには豊かな想像性があります。この焼きそばから見る風景は夏祭り。90センチの視点から広がる露店街。無垢な幼児をちびっ子ギャンブラーへと変身させる異世界への扉。すくえない金魚すくい、釣れない風船釣り、当たらないクジ…。
そこで学ぶのは人生の理不尽。残念賞に貰った金魚を手に下げて、ソースの香りで向かう先は焼きそば屋。広大な鉄板で踊るそばに重なるフォーリーブス。ニッチも、サッチも、どうにも、ブルドック、ワン♪。たぶん、ソースもブルドック。
テキヤの兄ちゃんがニヤリと差し出す船の中。「美味いからな、多めに入れたからな。溢すなよ!」カトちゃんみたいにババンバ、バン、バン、バン♪。焼きそばから伝わる熱を小さな手のひらで受けながら、小走りで家に帰ってテレビの前でチョットだけよ。あ、お箸もらってない。
露店の焼きそばは究極やら至高のメニューではありません。海原雄山なら顔を真っ赤にして怒るだろうけれど、美味しんぼは10年先のお話しで、細い麺に絡みついた甘いソースが激ウマ。かつお節の旨みと相まって家では味わえないおご馳走。何よりも夏祭りが極上スパイス。
一口でこれだけ感じられたのです。文句の付けようなどありません。逆にギャフンと言わされました。昨今、具沢山で、濃厚で、太麺が定着している焼きそば。マルナカの焼きそば、遠い昔のノスタルジックに黄昏たい親爺さん世代にオススメの逸品でした。舟形の器だったら言うこと無しです。今の僕のマイブームになっています。
ポイントは惣菜コーナー陳列直後を狙い撃ち。騙されたと思って食ってみ、泣くから。マルナカの山本さん、この記事を見ていたら陳列スケジュールを教えて下さい。それとウラでレシピもこっそり。
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