───僕の畑には禁断の領域がある。
それはオカンの聖域、南瓜ゾーンここにあり!。そこは僕などが指一本触れてはならぬ場所である。それ故、そこでは一切のお世話などはしていない。摘心も、剪定も、追肥も、水やりさえも施した記憶が無い。最初から最後まで放置プレーで見届けよう、そのうち枯れてしまうだろう…その考えは甘かった。
───野生が覚醒し暴走が始まる。
この子ら、水無しで育ってる…何で?。
野生化した南瓜は、茎を伸ばし、蔓を絡め、天に向かって大葉を広げる。害虫にも浸食されず、大きな葉には喰われた痕跡すら確認できない。小さな畑で起きた南瓜のバイオハザードは、日に日に勢いを増してゆく。トウモロコシ、サツマイモの畝が南瓜に浸食されるのも時間の問題なのである。
完全放任した結果は野生の王国だった。
───なのに全く実をつけない。
偶に、一瞬、希に思う。これは南瓜じゃないのかも知れない、南瓜に似た別の何か?。前回も書いたのだけれど、僕の畑の土は痩せていて保湿機能が働いていない。なのに畑の中で一番も元気。根本的な何かがおかしい。その横で、大事に育てたひまわりが無惨にも枯れていた。
理に叶わない理である。
───それでも南中時刻になれば、葉が縮んで死にかけて見える。
それはサツマイモもスイカも同じである。その状態なら蔓と葉に隠れた中身がよく見える。僕が見たいのはスイカだけれど、この日に限って南瓜を見て驚いた。
───実がついている!でも変?。
南瓜の知識は限りなくゼロな僕だけれど、実か否かの判断は出来る。どう見立てても南瓜の実である事には違いない、ただ、細長い事を除けば…。南瓜って、小さな南瓜が大きくなるんじゃ無かったっけ?。見れば見るほど漂うズッキーニ説。これが段々膨らんで丸くなって南瓜のカタチになるかも知れない。
取りあえず調べてみよう。
───…調べるんじゃなかった。
Googleで調べてみると、同じような南瓜の画像を見つける事が出来なかった。写真の小さな実のカタチは一丁前に南瓜だった。中には長い南瓜も存在するようだけれど、うちのオカンに限ってそれは無い。普通の南瓜を育てる筈である。何年越しの苗だかは知らないけれど。
───となると…あれは何?。
直接、本人に訊くのが簡単な手段のは理解している。しかし、それはそうではない。複雑なパターンが世の中には存在するのだ。橋田壽賀子のドラマのように、シンジ君とゲンドウのような関係だって存在するだろう。つまり、南瓜如きで地雷原など渡れやしない。これが直感的に分かったアナタ、そりゃ、今日から魂の戦士です。
───それにしても不思議な形状。
よく見ると、ちらほら雌花が確認できた。スイカのように放っておけば、そのうち実にもなるのだろう。この子だけがそうなのか?、それとも他のもこうなるのか?。南瓜は家庭菜園の域を越え、壮大な植物実験の様相を見せ始める。深まる謎を残しつつ、野生化した南瓜の今後。
色んな意味で楽しみである。
コメント
お母様、自然農法をしてらっしゃるの?提唱者によって、多少の違いはあるけど、耕さず、無農薬、無肥料、水もやらない。草や虫を敵とせず。(種まき後、苗が幼い時は、周囲だけ草の根は残して刈って、草マルチにする事も。でも基本は放任)、自然に自生してる野菜は、人の手が加わらずども、自然循環して育つ、野菜の自立心で育つ‥とか。あのね、コレ、父もやってます。お母様のかぼちゃと同じような子、ココにもいます‥。
自然農はやってないと思います。僕も理想は自然農だけれど、その前に雑草生える土にすべくせっせと刈り取った雑草を畑に導入中です。もしかしたらオカンゾーンだけ土が肥えてるのかも?。でも、ひまわりは枯れたから…未だ謎が多い畑です。ため池の水が干上がりかけているので8月は結構ヤバそう。そろそろ一雨欲しいです。