パイロットの万年筆を使い始めて

万年筆
火曜日(レビュー)

───火曜日はレビューの日

 スマホとか、タブレットとか、パソコンとか……。

 若い頃は便利な道具だった。覚え書きとか写真で記録とか……とても、とても、便利だった。そう、とても便利に使っていた……と……思う。けれど時期がくれば分かるよ、付箋が最強アイテムなのだと。そもそも記憶力のない僕である。記録したことを忘れたり、記録を探すのに時間がかかったり、記録した内容が違っていたり……その便利さが時間泥棒になってきた。

 だから、手書きにシフトしたのだが、スケッチブックやノートつーのも良し悪し。最速で最短。それを突き詰めた先に付箋があった。この手法、友人方式と呼ぶべきか? パッと書いてサッと壁に貼り付ける。困ったら壁を見れば、目の前に答えやヒントが書いてある。博士が愛した数式みたい。要らなくなったらゴミ箱へ。たまに、ゴミ箱をまさぐるのも御愛嬌(汗)

 筆記具には安価なボールペンを使う。ボールペンで書くのはいい。けれど、長文になったり、手書きの頻度が上がれば指が疲れる。僕は昔からペンを寝かせて書いていた。ペンを立てて書くのがボールペンである。ペンを立てる筋肉が非力なのだ。裏を返せば、若い頃に勉強しなかった結果である。だから、楽な手段を考えよう。

 つまり……え? 寝かせて書けるのは万年筆……作家さんっぽい。そんなぶらり散歩気分で、万年筆を購入した。今から一週間ほど前の話。

───パイロット 万年筆 コクーン ボルドー 中字 FCO-3SR-BO-M

 使い慣れない万年筆。それが、僕には合っていたようだ。自慢じゃないけど、僕を文字を書かない人だった。キーボードばかりで、漢字が書けない人だった。だが、それがいい。30年前、それが技術の最先端だと信じていたから。

 千文字程度を扱うブログなら、そのままでも十分だった。即興で書くから付箋なんていらねぇ~よ。その話が変わったのは、長文を扱う小説のステージに立ってからである。情報量が多すぎて、僕のオツムじゃ処理できない。脳がいくつあっても足りないくらいで、今日もサヨリは元気です(笑) おいサヨリ、お前の猫の手貸してくれ(汗)

───あのシーンの、あのセリフ……あれ、何だっけ?

 それは自分の発想だから、誰も答えを教えてくれない。あームカつくっ!

 その連続なのである。結果、時間のあおり運転に追い込まれる。悪魔的な焦りが襲う。頭から順番に書き進めればよいのかもしれない。でも、僕にはそれができない。その理由も分からない。文系の人がうらやましい。でも、書かなきゃ先へ行けない。だから、小説内の時系列をランダムに飛び跳ねて書く……な感じ。

 できましたぁ~! つって、ランダムな時間にランダムなメールを受け取る相棒は大変である……赤上げて、白上げて、赤下げないで、白下げない。みたいで、なんか……ごめんなのである(汗)

 万年筆に切り替えた利点は、力のいらないことである。ぬるぬるっとサラサラ書ける。まぁ、普段の僕は、普通にガテン系の仕事である。だから腕力だけなら自信もある。リンゴを握りつぶす程度なら、年寄りの僕ですら可能なのだ。けれど、ガテンの世界じゃ文字など書かない。口頭メインで仕事は進む。その環境でスマホもノートも開けない。むしろ、そのサイズが邪魔なのだ。

 付箋と万年筆のコンビは、ポッケからパッと出してサッと書ける。書く内容は数文字だけ。一行のヒントだけ。仕事を終えて、書き溜めた付箋を事務所の壁にペタンと貼って。今はそのスタイルが気に入っている。壁に貼り付けた付箋を眺めて、新作の世界に思考を沈める。あの日もらった付箋を、僕の付箋の横に貼り付けて。こうやって書いていたのかな? 君には時間がなかったもんな……そんなことを思いながら。

 この万年筆と君のポメラで、新たなひこうき雲を描こうや(笑)

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