───今日も行きます?。
喜んで。
あの、「食べても食べても減らないからからげ定食」から24時間30分後。昨日よりも30分遅れの午前11時30分。僕らはゆうちゃん食堂の中にいた。昨日はあんなにあったお弁当も残りわずか、続々とお客さんが店に入ってきた。子連れや女性にスーツ姿。客層は様々だったが、圧倒的に僕らと同じ作業服が店内を制圧していた。
───ご注文は、からあげ定食とチキン南蛮定食の声が多かった。
相棒は日替わり定食、僕は予告どおりのハンバーグ定食(710円)を注文する。ここまでは、昨夜からのシュミレートしていたどおり。軽く期待して大人しく待つ。
───少々お時間を頂きます。
知ってる、それ嘘でしょ。
ハッタリじゃ無かった、思わせぶりじゃ無かった、嘘じゃ無かった。何時来れるかわからない次回の為にメニューを見ながら順番を待つ。僕のハンバーグ定食が整ったのは、相棒が日替わり定食を食べ終えた後だった。これは計算違いで、「何か、ごめん」そんな空気から僕の昼食が始まった。
───食って一番良いのは、喰って後悔しないことだ。
昨日の経験から、巨大なハンバーグへの覚悟を決めていたけれど、出来上がったハンバーグは標準サイズだった。少し拍子抜けだった。けれど、標準サイズに比べると、やはりデカイ。
───あの日から食事量の感覚が少し狂ってしまった。
ゆうちゃん食堂のハンバーグは、これ好きな味だった。
───ご飯(小)と味噌汁(豆腐・わかめ・厚揚げ)。
ハンバーグの皿には大量のキャベツの千切り、シャキシャキ玉ねぎが香ばしいサラダ、本丸のハンバーグの上にはたっぷりのデミグラスソース。さらに上の目玉焼きが食欲をそそる。
───目でみて、鼻で嗅ぎ、舌で味わい、脳で楽しむ。
子供の頃に夢見たハンバーグの理想系がそこにあった。ケンにいちゃん(1974/昭和49年)のエピソードの中にハンバーグの回がある。ケンちゃんの舞台はレストラン「あおぞら」。お父さんが小馬鹿にしたお客が実は有名なコックだったという回である。詳しくは書かないけれど、これがわかるアナタ、そりゃもう、お友達です。
僕らが子供の頃。
ハンバーグはいわば都市伝説的な食べ物で、ハンバーグが作れるお母さんも想像上の自分物という設定が強かった。グラタンは名前だけの存在だった。つまり、今では普通の食べ物が珍しかったのだ。
それだけにハンバーグは特別感を感じる。
それを口に含むと訪れる舌先への祝福。これだよ、これ。基本に忠実にハンバーグを焼くとこうなる。口の中でミンチ肉が僕は牛だと主張する。肉の粒の食感が嬉しい。少し甘めに味つけられたデミグラスソースは、それだけでご飯3杯食べられる。それに安定の目玉焼き。
───これはリピの予感確定だ。
昨日の唐揚げよりもハンバーグの方が僕の口に合っていた。朝日町の仕事は今日で終わり。今度、いつ来られるのか分からないのだけれど、ゆうちゃん食堂のメニューだけは頭の中に叩き込んでおこうと思う。
───雰囲気と、豊富なメニューと、ボリュームと、味。
時間と都合が合えば、今度は息子らと食べに来たいな。そう思いながら店を後にした。ごちそうさまでした。
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