先日、ウェブ案件(SENSE DOOR オフィシャルサイト)でお世話になっているお客様から食パンをいただいた。そのパンはズッシリと重力を感じる手応えで、普通のそれとは違う事を容易に察する事が出来た。いつもなら、会話の枕としてパンについてアレコレ質問攻めにする場面なのだけれど、公式サイトの作成も大詰め。気持ちにも時間にも余裕という二文字は1ミリも無かった。なので、作業最優先でお客様と共に仕事に挑むのがこれからのミッション。
さぁ〜、ショータイムの時間だ。
一方、僕と共にお客様を出迎えた愛猫サヨリの方はというと、ライトブラウンのビニール袋の中に眠る食パンに激しく反応したらしく、それと一定の距離を保ちつつもビニール袋から目を離さない。いつ、どのタイミングで食パンに飛びつくのか分からない一触即発状態で、それがこれから3時間ほど続く事になる。
いいかサヨリ、空気読めよ。
さてさて、策士サヨリの次なる一手は。
なかを光月堂の芋パンと策士サヨリの行動
まずは食パンの話から。
緑色の文字でで大きく「菓子工房なかを」と印刷されたライトブラウンのビニール袋。僕にとって初見のお店だった。
初めまして、キジとらです。国分寺へ立ち寄った際にはよろしくお願いします。
その袋の中を覗いてみると、2個のパンが食される刻を静かに待っていた。食パンの側面に貼られた表示紙を読むと、芋パンと書いてあり、原材料などの記載と共に最後に「なかを光月堂」と記されていた。
ん、菓子工房なかをさんじゃなかったっけ。
と一瞬首をひねったのだけど、野暮なツッコミはいけないね。
ちなみに、住所は国分寺町新名746ー8(087-874-1233)で、上福岡町のダイキ店内にある直販コーナーでも買えるらしい。
さて、記事の冒頭にも書いたが、手に取ると食パンが連想できないズッシリ感。それもそのはずで、食パンの中に黄金色のサツマイモがギッシリと埋め込まれている。
これはパンの宝石…、いや、何でもない。
仕事も終わって、ようやくサヨリもおこぼれに預かれる瞬間が訪れるのだが、今日もやってくれた。やってくれちゃったね、サヨリちゃん。時を巻き戻すこと3時間前。話は冒頭に戻るのだけれど、ライトブラウンの袋が気になるサヨリ。甘えの矛先を僕からお客様に切り替えた。
今回のミッションはこうだ。
いつものように僕の膝の上に座ってお客様からの要望を聞くのだけれど、視線の先は芋パンで、体は前面、顔は斜め左30度という姿勢でしばらく過ごす。
僕がパソコンに向かうと、音も無く、す〜っと床へ降りて何処かへ行ってしまったサヨリ。20分ほど作業に没頭し、振り返ればヤツがいない。何処へ行ったのか事務所中に目を配らせるとお客様の背中からヒョッコリと顔を出すサヨリ。
あ〜、そこかい。
サヨリはお客様のお尻の背後に潜り込んで、座椅子の半分を実効支配中。きっと、
猫ちゃん、パン食べる?。
の一言を狙っての静かなるアピールだと推測される。僕の顔をチラッと見て、サヨリの視線はライトブラウンのビニール袋にまた戻った。もはや何がしらの飴が無ければ撤退する気は無いらしいのだけれど、それからパンの話題が僕らの間で語られる事は一切無かった。
3時間にも及ぶ作業も恙無く終了し、その間、ずっとお客様のお尻の後ろで芋パンを監視しつづけたサヨリ。
時は満ちた。
駐車場までお客様をお見送りしてから事務局に戻ると、案の定、芋パンの袋に頭を突っ込む強盗サヨちゃん。
ドアの開く音でハッと僕を見る目が鍵っ子キャサリンで、その後は雄猫なのに色仕掛け。しなりしなりと音もなく僕の足元に顎を擦り付けてウニャウニャと鳴いている。
漢だろ、ちょっと待ってな。
猫が食べてはいけない食材は結構あって、普通に大丈夫そうな食べ物も危険だったりするのだから、グーグル先生で調べるのが基本。その隙を狙って、芋パンのATフィールドを引き裂こうとするエヴァにゃん号機。
グーグル先生によると、砂糖やら塩やらと色々なものが練り込まれている食パンはノーグッドなのだけれど、少量のサツマイモは猫に与えても良いらしくて一安心。
そこで、キューブ型のサツマイモを一粒サヨリの口の前に差し出すと、カプッとかぶりついたね、僕の指ごとガブッと。生まれて初めて食べたのかどうかは知らないのだけれど、サヨリにはサツマイモの味がお気に召したようで、もう1個、もう1個と僕のズボンに爪を立てて猛烈にアピール。
俺は爪とぎか。
一度にサツマイモを沢山与えるのもは如何なものか。なので3粒だけ食べさせてからちゅーるを与えた。今日のは乳酸菌の入っているやつだ。
右手でサヨリとちゅーるしている間に、空いた左手で僕にとっても初めての芋パンを頬張る。
あまーーーーい。
人生で初めての芋パンだったのだけれど、パンとサツマイモって合うんだね。これだったら、バターとかジャムとかいらないわ。とか思いながら一気に3枚食べてた。
ご馳走さまでした。
後日談。
なかを情報が知りたくて仲間に問い合わせてみたところ、なかをの芋パンは誰でも知っている程に有名なのだとか。その20分後、深夜にも関わらず僕とサヨリの目の前で芋パンを頬張る愉快な仲間たちの姿があった。
芋パンって自分で作ろうかと思うと難しいんよねぇ〜。あれやんか、サツマイモを甘く煮たつもりでも甘味が無かったり、5枚切りならええんやけど、6枚切りになると難易度が一気に上がるんやわ〜。
などと講釈を奏でながらご満悦なご様子。
ただ、
その光景を見つめるサヨリの視線からは、殺意以外に何も感じられなかった。後でちゅーる、もう一本だけサービスしておくとしよう。
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