初めての24時間テレビが始まるまで(1979)

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今年も24時間テレビが放送される。てか、ただいま絶賛放送中なのだけれど、初めて見た24時間テレビのインプリンティングが強烈過ぎで全然地球を救えない。小学生の頃はワクワクしながら見ていたのにね。今では変な色眼鏡が標準装備されちゃって、やっぱり地球を救えない。テレビが24時間放送されるつーだけで、小6の僕らには重大事件。砂の嵐の無い夜に、僕らの期待は募るばかり。

アレだ…昭和のテレビは閉店ガラガラが早い。11PMが終わったら砂の嵐でシャバダバだよシャバダバ、シャバダバ〜♪。午前1時を回る頃、どのチャンネルも砂の嵐。都会の事情は知らないが、こちらは民放3局で頑張っている田舎ですもの。今でこそだけれど、うどんブームもずっと未来の話なのです。プロ野球中継での「一部の地域を除いて引き続き野球中継を放送します」。その一部の地域じゃ無かった事だけが、我が県の自慢です。

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第2回 24時間テレビ 愛は地球を救う 

1979年(昭和54)の夏休み、初めての24時間テレビに僕はワクワクしていた。ルンルン♫と言い換えて頂いても構わない。そもそも僕らは、1978年の夏に救われ無かった。放送エリアに香川県は外れていたから。だからこそ、去年の分も合わせて倍返しで期待を寄せた。でもね、まだ未熟な僕らには大きな疑問あった。ちゃり…ちゃりてぃーって何だよ?、てかチャリティーって何語だよ?。

ラジオ体操にて

「チャリティーは凄いらしい」「でも、チャリティーって何だ?」…ラジオ体操に集結した僕らの話題の中心は、いつもの「8時だよ!全員集合」から「24時間テレビ」に変わった。8月25日の新しい朝。僕らは希望の朝に集い、おのおのスタンプをもらって家に帰った。13時間後の本番に向けて僕らにはお昼寝が必要だ。今夜は眠れないのだから。徹夜だよ、完徹。初めての経験に心が震えた。あとは空母オカンの気分次第。

お昼を食べて畳の上に寝転がって、夜に備えて仮眠する。でもね、眠れない、眠れやしない…そして、蒸しあづい。不摂生…もとい!規則正しい生活と夏の暑さがそうさせた。寝返りを100回くらい繰り返したところでS兄弟がやって来た。いつもの釣りのお誘いだった。うん、そんな気がしてた。

釣り三昧

当初は気乗りしなかったものの、小アジ一匹釣れれば地球への愛などあっさり消える。地球は沖田艦長がヤマトで何とかしてくれる。何なら古代君もいるから大丈夫。今は獲物に全力、全てを捻じ伏せオレは勝つ!。僕らは、この堤防の片隅で本能の赴くままに竿を振った。バケツ一杯の鰺(アジ)と共に。

帰りの足取りは重い…いつもそう、いつだってそうだ。これから鰺フライが何日続くのか…いや、今、それを考えるのはよそう。考えても無駄だ。重いバケツを引きずりながら、家路に着くと、オヤジもバケツ片手に帰って来た。アンタねぇーーーー!。

やっぱり、いつものアジフライ

「今夜はアジフライよ♪」いやいや…今夜もだから、今夜も。今日も、明日も、明後日も鰺づくしだから。バケツ2杯分の鰺って何だよ。大人なら鯛くらい釣って帰れよ。

僕はお肉が食べたいのですよ、お母さま。西洋にはハンバーグという食べ物があるらしいのです。その上にはデミグラスソースというのが乗せられているようなのです。それは都市伝説なのでしょうか?。僕は腹を割って話したい気分に襲われるのだけれど、まぁ、煩いの一言で撃沈されるので口チャック。今夜だけはご機嫌を損ねられると困る。

美味しい美味しいアジフライを食べ終えた頃。ブラウン管の向こう側に欽ちゃんが現れた。24時間地球を救う、笑いの魔道士欽ちゃんは紛れもなく僕らのスター誕生だった。僕が生まれた時からブレイクしっ放しの視聴率男。僕らザクが喰い付かない理由すら見当たらず、家族総出で欽ちゃんのトークに吸い込まれた。

24時間テレビ 放送開始

徳光さんと沢田亜矢子さんによる、ズームインとルックルックの夢の共演。国民的歌手の坂本九ちゃん、笑福亭仁鶴さん、オロナミンCの大村崑ちゃん、桂三枝にタモリさん。特撮界からはウルトラマンとセブンでお馴染みの毒蝮隊員。歌謡界からは東京ララバイの中原理恵ちゃんにおもいで酒の小林さっちゃん。その中でも唯ならぬオーラを放つ昭和のモンスター ピンクレディってオイ!だよオイ!。仮面ライダー大集合かよ。

他にも出てくる芸能人らにちょっとゴメン、情報過多で今忙しい。こんなの大晦日の夜しか見た事無い。何も知らない事は幸せで、観るもの聴くものが新鮮。バカで良かった、情弱上等だった。あっという間に、子供が寝る時間が訪れたのだけれど、ここでミラクル少女が巻き起こる。茶の間の卓が移動して、家族全員の布団が敷かれた…オカン…本気か…24時間、見届けるつもりなのか?。

オカンの甘い罠

布団に潜ってと書きたいところだけれど、そっちの方が雰囲気出ると思うけど、敷いた布団は敷布団だけ。真夏ですから、夏休みですから、扇風機だけで夏と戦っていますから。布団が敷き終るや否や、カチカチカチっと蛍光灯の紐が荒々しく3回引かれた。暗い天井に青白く光る紐の先端がブラブラと大きく弧を描いた。

何時まで見ていたのだろう、愛は地球を救う。アレだ…障害とか弊害とかが無ければ人は燃えない存在で、「はいどうぞ、朝までごゆっくり」、これだけで人間は意識を飛ばす事を学習した。カチカチカチでカリギュラ効果は完全に封印された。まんまと僕はオカンの罠にハマって寝落ちした。

僕の記憶に残るのは元気満々の欽ちゃんとピチピチのピンクレディ。それと画面いっぱいに並べられた貯金箱やコインの入った瓶の数々…そんなところ。おとなしく家でお昼寝しとけば良かった。あぁ…釣りになんか行くんじゃ無かった。今夜もアジフライかな、アジフライだよな。うん、アジフライ。

おはよう、ウィッキーさん

翌朝目覚めると、何処と無く元気玉を抜かれた欽ちゃんと、何かしら魂を抜かれた徳光さんが小さなテレビ画面に映っていた。植松おさみの元気さだけが際立って見えた気がする…お気の毒さまおめでとう。僕の眠っている間に何があったの?。結局、チャリティーって何だったの?。ねぇ、ウィッキーさん。

感動のフィナーレ

朝起きて24時間テレビみて、手塚治虫の海底超特急マリンエクスプレスみて、途中でOHKで放送していた「劇場版 宇宙戦艦ヤマト」に横恋慕して…はぁ?、OHKはフジ系なのに日本テレビ系のヤマトだと?。どう思うかね、デスラー君。それで良いのか、OHKの職員諸君。14万8000光年の旅の終わりを見届て、24時間テレビへチャンネルを戻す。途中で食べた今夜のおかずはアジフライ。そう、やっぱりアジフライ。予告どおりのアジフライ。これを呪縛と言わずして何を呪縛と呼ぶのだろうか。

結局のところ、24時間テレビの主たる業務は募金集めなのは理解した。もうね、家にあった空き瓶探したね、出来るだけデカいの。無性に瓶に小銭が入れたくなった記憶が今でも心に残ってる。もうね、募金に来た同年代の子たちの誇らしげな顔が憎らしかった。来年はあの場所にと思った。番組の終盤、テレビの中も外側も奇妙な達成感とか充実感とかを共有した。ビデオもネットも何も無い時代だからこその集中力と興奮をビリビリと感じた。それは同じ時代と同じ時間を共有いた人たちが同様に感じたと信じている。そして番組最後の言葉がね、テロップがね、分からないなりにグッときた。

この番組を作ったのは…あなたです!。だよねー僕も頑張って見たもん。純粋なボランティア精神で挑めば、24時間テレビって100年先も愛される番組になると思うのです。いいじゃない、ノーギャラで参加してくれる人たちと続ければ。ボーっとしてると芸人・芸能人ユーチューバーたちが結束して24時間テレビを始めるかも知れないのだから。手を打つのなら今ですよ、今。

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