───もはやこれまで!、コタツ撤収。
愛猫サヨリの視線が痛い。
コタツ消滅。彼にはこの世の終わりと同じなのだろう。視線と言うより死線だ。ハウスの中から君に届くと死ぬ方の、貞子のような目で僕に訴え掛ける。
───ええんか?、後悔しないんか?、呪うよ。
たとえ明日の気温が下がろうとも、後悔の念など微塵もなかった。それよりも夏仕様に早く切り替えたかった。お待たせしました、お待たせし過ぎたのかも知れません、大掃除です!。そんな気分だ。
夏仕様、事務所の衣替えは徐々に熱を帯び始める。デスクの引き出し、コンテナの中、大切だった何かを詰め込んだAmazonの段ボール。今見ると、どれもこれも要らないゴミばかり。それでも将来必要な場面もあるのだろう、だが、今は要らない。
───廃棄処分。
こいつら全部をゴミの日に捨てたら事務所が広くなるだろう。爽快だ。人間は、人生の3分の1の時間を捜し物に費やすのだそうだ。
50を過ぎ、その傾向は年を追うごとに強くなる。モノが無くなれば、捜し物に費やす時間も短縮出来る。「私たちには時間が無いのよ!」この気持ちをご理解頂けるアナタ、そりゃ、もう、お友達です。
───捨てたい、捨てたい、捨てたい。
捨てたい願望が止まらない。ゴミを分別し、空いた黄色いコンテナの中に放り込む。手狭な事務所の空間が徐々に広がる快感。それに酔いしれながらも捨てるに棄てられない代物がポツポツと姿を現す。
───USBメモリとSDカードである。
捨てるのはチョロいけれど、中身の確認をしておきたい。たぶん、ブログ用として撮影した写真だろう。サヨリさん、食べ物、風景、その他諸々。その中に忘れかけた大切な何かがあったら…。そう考えると用意には手放せない。
ビニール袋に入れて仕舞い込もう。そう考えたのだけれど、何か違う気がした。スマートじゃない。お菓子の箱なら忘れないかも?。だったら、チョコレートの箱なんてオサレさんじゃね?。そんな気持ちもあり、お芋さんの買い出しのついでに、きのこの山を買う事を決めた。
きのこの山を1箱購入
───サイズ的にもピッタリだった。
他の引き出しを整理すれば、もう、何本かUSBメモリが出てくるだろう。それにしても、なんで何本もUSBメモリが出てくるのだろうか?。知ってはいけないファイルが見つかってしまったら、見なかった事にして、そっと処分しよう。
───大丈夫、僕は口が硬い。
きのこの山は1975年(昭和50年)に誕生した国民的お菓子である。発売以来、よい子達の遠足、運動会、修学旅行の友としてもお馴染み。
発売当時の価格は120円。そんなぶらり遠足気分で買えやしない。僕には恐れ多くて憚られる高額なお菓子だった。その一方で、価格とボリュームに勝るかっぱえびせんはいつも無敵な存在だった。
───だからこそ、きのこの山だよ。
今なら買える。気にせずに買える。なんなら2〜3個まとめて買って来る?。そんな意気込みで1個だけ買って帰った。ビックリマンシールのように、中身は取り出して冷蔵庫に保管。
箱の中には、あちこちから出てきた記憶媒体をまとめて入れた。覚えた、記憶した。これでこれは僕の記憶から消えない。暇が出来たらゆっくりと中身を確認しよう。
───木曜日は破砕ゴミの日。
大物は木曜日に処分して、細々したものは後々処分。すっきりと広々とした事務所。それは、まるで夜逃げする前のよう。リクライニングチェアに腰掛けて、ハウスの中のサヨリさんに改めてご報告。
───コタツの撤収、終了したよん。
何が言いたいのかと言うと、きのこの山って200円もするのな───「今なら買える。気にせずに買える」は前言撤回。これも値上げの春の影響ですか?、世知辛い世の中だ。
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