待ち望んだ二つのアレがついに来た。

───キタ。

　月曜日午前６時。

　快調な目覚めであった。だがしかし、前日は地獄であった。『お前、病気か？』ってくらい、怠だるくて、怠くて、意識朦朧もうろうな一日を過ごした。その原因はハードな肉体労働からの倦怠感に決まってる。これやってみ？、中学の部活くらい辛いから。

　５０も過ぎれば体力の向上に期待はしない。それは、無い物ねだりというものである。還暦前の老人が、「ヤー！パワー！」の方がどうかしている（汗）。

　けれど、僕はこの日を待っていた。倦怠感の向こう側。寝る前に、相棒から貰った黒にんにくを囓りながらその日を待った。経験上、それは一ヶ月後に訪れる。だってそうでしょう？、人間の体はそう出来ているものだから。筋トレ、運動、フィットネス。その負荷に体が慣れるのが一ヶ月後。身体が大きく変化するのは三ヶ月後。この法則は今回も裏切らなかった。

───今日は絶好調である。

　所々に筋肉痛があるものの、それは大した問題では無い。ヒーヒー言いながら待った甲斐があったのだ。この痛みもやがて筋肉の肥やしとなる。動くぞ、体が動く。意識もしっかりしている。気を抜いても眠くならない。意識が飛ばない。集中してブログが書ける。こうなればこっちのものだ。ずっと俺のターンである。

───あれ、痩せた？。

　僕の体重は標準と肥満との境界線。２、３キロ痩せたとて、他人様にこの言葉を吐かす事など出来やしない。それが出来たのも今日である。痩せた秘密の半分は日々の労働にあるのだけれど、もう半分は食事である。

　畑の野菜と友人が作ったベジタブルシリーズ。つまり、ヘルシーな食生活。外食とは無縁の生活で、たまに讃岐うどんをシバク程度。揚げ物なんかも食べなくて、今日もサヨリは元気です。

　先週は、畑で採れたジャガイモで肉抜きの肉じゃがと、友人からの米。そして、蒸したトウモロコシを囓ってた。少し前にはサツマイモ。デザートには完熟マンゴー。それもこれも友人の作品である。『自家栽培王に俺はなる！』そんな勢い溢れる作物で、徐々に体を作ってきたのだ。だからオートで体は勝手に整う。

　去年、友人に初めてメールを書かせた記事は何だったと思う？。もっぱら記事ネタがダイエットだった頃に書いた、アンクルウエイトの記事であった。高嶺竜児、孫悟空、ロック・リー…アンクルウエイトとは足に装着する重しである。記事は、それに一喜一憂した内容であった。それに対してのメールであった。

───あなたは間違ってないから大丈夫だと。

　あれから一年後、友人が作った野菜で僕の体が出来ている。人体と人生との摩訶不思議。それを絶賛実感中である。

　そして今日、もう一つ。

───キタ。

　お待ちかね、友人からの資料であった。あれな、レターパックって一週間くら掛かるのな。荷物を受け取り我思う───えー、そんなに日数掛かるものなのかと。えー、天下の日本郵便様なのにぃ、とろくない？。軽く愚痴りたい気分にもなりながら、グッと抑えて茶封筒の封を切る。

───友人が描いた絵。冊子と、コーヒーと、ぶんぶんちゃん。

　彼女の絵は一目で分かる。僕は一枚だけ彼女の絵を持っていた。ひまわり畑に立つ女性が描かれた絵であった。無数のひまわりが印象的であった。それと同じ作風の絵が５枚。冊子は絵の資料であった。彼女が活躍する舞台は世界であった。

───恐れ多くて鳥肌が立った。

　同封された、富士山溶岩焙煎珈琲を飲みながら絵と冊子に目を通す。ぶんぶんちゃんのストラップは赤いリュックにぶら下げた。赤いリュックにぶんぶんちゃん。ジジイにこの乙女さは不釣り合いだけれど、まっ、いっか。そんなの誰も気づかないだろう。てか、ぶんぶんちゃん、可愛いな（笑）。

───彼女が僕に託したポメラの名前。

　通称『ひまわり』。

　それはこの絵から名付けたものである。何となく、ひまわりが好きなのだろうな。そう思って。今期は盛大に畑にひまわりを植えた。きっと、彼女が喜ぶだろうな。そう思って。

　水無月の雨の夜、６枚の絵と冊子を見比べながら気づいてしまう。根本的な間違いに。なぜ、６枚ある絵の中で、この１枚だけを送ったのか？。そのヒントは、過去の記事に山ほどあった。これでもかと、散々使った花言葉の中に。