屋島の瓦投げは幼女の恋文
元旦の朝。 俺たち放課後クラブは屋島山上で御来光ごらいこうを拝おがむ。 幼稚園時代から始まったこの行事は、俺たちが中学生になっても続いていた。ゆきは正月に海外旅行の予定がなければ参加した。つーか、いつの頃からか初日の出を拝んでから、ゆき一家はハワイへ家族旅行に出掛けるようになっていた。 三学期の始業式。 小麦色の肌をしたゆきがハワイ土産を配るのも、放課後クラブの冬の風物詩になっていた。俺たちは、その日を“マカデミアナッツチョコの日”と呼んで楽しみにしていた。 話は戻って、初日の出。 今年の引率役はオトンだった。初孫の屋島デビューにオトンが張り切らないワケがない。なのに大晦日、オトンは朝まで飲ん...