小説キャラの名前がいつも決まらない問題

金曜日(小説の話)

 金曜日は小説の話

 今さらだけれど、小説の登場人物の名前を決めるのは難しい。今となれば、難しかったと語るべきか? 昨今の小説は、キャラクターネーミングからして凝っていて、意味もあるし、響きもあるし、そもそも名前が伏線だったりと……考え始めると決まらなくて、今日もサヨリは元気です(笑)

 僕はネーミングから書き始めることもある。名前からストーリーを展開させる決め打ちだ。けれど、それは極めて稀である。だから、話しの途中の雰囲気で名前を決めることになる。それまでは、彼とか彼女とか。俺とか私とかの名無しさん。物語を書きながら名前を決める。

 短編小説「邂逅」はこの手法を取った。綱渡りをしながら書き進めた。決まっていたのはヒロインの名前だけ。名無しさんでは可哀そう。けれど、名前を決める時間がなかったのだ。だから邂逅の1話では、人名そのものが何処にもない。だって、そうでしょ? ショート・ショートだから、人名抜きでもイケると思った。なのに、2話目の途中で気づいてしまう。

───この話、そう簡単に終わらない。

 自覚したのは2話の後半に差し掛かってから。邂逅は輪廻転生の物語である。だから、輪廻の華。ヒロイン輪華りんかの名前は容易に決まった。主人公のあつしの名前は、3話目でようやく決まった。計算ではなく成り行きで……。初めてとはいえ。よくもまぁ、こんな調子で話が完結したものだと今でも思う。

 ラストシーンは見えていた。けれど、篤に己の転生を納得させる材料がなかった。だから、話しを伸ばすという負のスパイラルが始まった。自惚うぬぼれ屋さんの斎藤は、苦肉の策で生まれた存在である。いわば、イレギュラーであった。

 長編小説「のんちゃんのブログ王」でも得た教訓がひとつあった。ヒロインのんは決め打ちだった。この呼び名は譲れない。問題は、ゆきである。書き始めて途中で気づく───名前の平仮名表記は難しい。下手すれば、文中で平仮名ばかりが続くのだ。言葉の並びを変えながら、表現する言葉を選びながら、対応したけれど難しい。否、正直なところ面倒くさい……。

 僕が書く文章が、元々、漢字を乱用していたから気づかない───それは平仮名です……相棒の助言に従えば、平仮名の出現率が俄然増えた。結果的に文字数は伸びる。それはいい。でも、どうしてもゆきの場面が書き辛い。雪、由紀、有希、ユキ……名前の候補はいくらでもあった。けれども、今さら表記を変えられない。ふわふわマシュマロのイメージで作り上げたゆきの名は、どう考えても平仮名だ。

 こうなると、どうなると思う?

 ゆきの出番が少なくなる。無意識に意図的に。すると、放課後クラブのバランスが悪くなる。原稿をチェックする相棒は知っているけれど、初期原稿で、ゆきの扱いは主要キャラなのにモブだった(汗)

 ゆきとコンビのアケミは最初からカタカナだった。気の強い役どころだからカタカナがいい。当初、月読はつくよだった。小さいし、可愛いし、女の子だし……平仮名は丸い感じがして、幼女の名前にピッタリだ。でも、ゆきで苦戦を強いられる。だから、つくよはツクヨになった。今でもそれは正解だと思っている。

 のん&ゆいコンビは別である。そっちは、ふたりだけの独壇場。そうなると、気にせず書けてしまうのが不思議だった。きっと、それ仕様で脳が機能しているのだろう。だったら、放課後クラブのパートだって、それで書けばいいのに。それが、同じように書けないところも不思議である。やっぱり僕は、馬鹿なのかもしれないな(汗)

 たぶん、僕の語彙ごいの不足が原因だけれど……。

 ということで、明日のショート・ショートは斎藤さんが活躍する……と思う。

コメント

  1. 前からアケミって名前は気が強いイメージだと思ってだけど、全国共通だったのかぁ( ´∀`)/~~

    • 〝あけみ〟って平仮名にすると、やわらかく感じるのにね。
      文字のカタチが代わるだけで、同じ響きでもずいぶんと印象が違います(汗)

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