病院で 母の診察待つ時間 こんなところにサラダ記念日

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母の白内障のオペには続きがあった。もう片方のオペである。当然のように僕も付き添う。前回よりも雰囲気は悪くない。初回と違い心に余裕が生まれていた。

───視力1.2になった。見えないものが見えて辛い・・・。

右から左へ受け流す。たぶんそれは顔のシワ。知人からの入れ知恵である。僕には見える、助言はあれども踏む地雷。だから深掘りもしなかった。何も訊きません、何も言う必要もありません。男は黙って運転手。

───心の余裕が時の流れを失速させた。

手持ち無沙汰で眺める本棚。絵本、小説、ドラゴンボール・・・。眼科とは思えぬ品揃えから視線でタイトルを追ってみる。右から左へ視線を流す。「へそ天にゃんこ」から数えて3つ目。僕の視線がピタリと止まった。

───これ、あのサラダ記念日?。

サラダ記念日(俵万智)。

それはブログでちょいちょい使うフレーズ。こんなところで出会うだなんて。突然ですが、ここでひとつご報告があります。サラダ記念日、実は一度も読んでません。何年も本屋に平積みされていたのは承知の上で、手に取った記憶すらないミリオンセラー本でした。だってそうでしょう?、まだまだ僕は青かった。

───1987年、サラダ記念日ブームの年。

キョンキョンは木枯らしに吹かれ、雪国を幾三は追いかけて、悟空は二度目の天下一武道会。だからこそ、男子たるもの愛読書は週刊ジャンプに決まってる。そう豪語していた僕でさえ、

───この味が いいねと君が言ったから  7月6日はサラダ記念日

この歌と俵万智という名を知っていた。それだけ多くの人々に、多大な影響を与えた歌集である。その本が目の前に。これは何かの教示であろうか?。オカンのバッグの見張り番。つまりここから一歩も動けず。本に目を通すくらいの時間があって、今日もサヨリは元気です。一息で キミが一本食べたから 5月2日はちゅーる記念日(笑)

ここで逢ったも何かの縁・・・かにゃ?。

だから手に取りさらりと読んだ。歌集ならではの読み易さがあった。7月6日が登場するのは125ページ目。思ったよりも後の方で存在を確認した。消しゴム1個80円、サザンはすでにひとつのジャンル、お土産には讃岐うどん。この感じ、この感じ。昭和の空気を脳で味わう。女性ならば尚更であろう。予想に反してあとがきまで読み干せた。

───しくじった。

正直な感想がこれである。

発売当時にサラダ記念日を読むだけのマインドがあれば、それさえあれば、人生が大きく変わってたかも知れないな。書く気は無いけどふたつの意味で。青春時代の真ん中は後からほのぼの想うもの。森田さんは上手いこと言う。

───うどん行こ。

鶴の一声で現実世界へ舞い戻る。そそくさとサラダを畳んで棚に戻して、はい、はい、はい。おうどん食べに行きますか。

───病院で 母の診察待つ時間 こんなところにサラダ記念日。

ノスタルジックに浸れた20分。枯れた爺だけど読んで良かった。新鮮な言葉のサラダを頂きました。ごちそうさま(笑)。

コメント

  1. サラダ記念日、みずみずしい一冊ですよね。いつ読んでも良いけど若い時より今頃の方が、もっと深く理解が出来て、今だからこそ良い気がします。。付き添いの 孝行息子 こんな時? 今が読み頃 サラダ記念日。短歌に返歌はつきものだよねって、やってはみたけどお粗末でした。短歌と呼べる立派なものは作れなくても、作るのは楽しいですよね。いい歳して指折り数えたりね(笑)。

    • 返歌ありがとうございます。サラダ記念日、リアルタイムだったら「へぇ~」くらいで終わってました。若造ですからそうなります。そう思うとベストタイミングで読めた気がします。そもそも以前なら、左端のドラゴンボールを読んでるはず(^_^;)

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