ミニチュアダックスのお転婆娘を畑に放せばドッグラン

元日の朝、僕はオカンの犬と散歩に出掛けた。

遊びたい盛りの抑制で、来客前のガス抜きである。コイツをやっていないと後が面倒、ワンワン鳴いて喧しい。

───サヨリちゃん、後で戻るね。

愛猫サヨリは事務所で留守番。急にオカンが犬を飼いたいと言い出した夏、子犬が来た翌日血尿出した。ハァハァ寄って来る子犬へのストレスである。それ以降、サヨリの家は今の事務所。ここで自由気ままに暮らしている。

ワンコと歩いて公園に行くと、元旦の朝から多くの子供らが遊んでいた───ここはダメだな。噛みつくようなワンコじゃ無いけれど小さな子もいる。何かあったら大変だ。

───そうだ、畑に行こう！。

家から畑まで徒歩１０分。運動不足も相まって、ウォーキングだと思えば近いもの。猪から畑を守る外柵も中に入ればドッグラン。我ながらナイスアイディア。団地を抜けて、道路を横断、坂を登ればいつもの畑。リードから解き放たれた小さな天使はつむじ風のように走り回る。若いって良いなとつくづく思う。

───でもあれだ、うちの犬って呼んでも来ないんだな・・・。

下手に懐かれたらこれまた面倒。オカンのご機嫌を損ねぬように、無視し続けた結果がこれである。ハァハァと畑の中をグルグル回る。兎のように飛び跳ねるお転婆娘。名前をミクと申します。初音な響きに家族の全員が即却下。だってそうでしょう？、2010年代にミクってねぇ〜。けれど暴君の意思は金剛石より強固かった。もはや誰にも止められなぬ。

この渡る世間は勢力図の分かるアナタ。そりゃもう、お友達です。機会があれば幸楽でお食事でも如何デス？（笑）。

───ドッグランでは茶色い丸太が止まらない。

猟犬の血が騒ぐのだろう。グルグル回る短い足にふと思う。棒とか長げたら咥えて来るかな？。アレでしょ？、ボール投げたら咥えて戻ってくるやつ。フリスビーとかでもやってるやつ。

───やるんじゃね？、犬だから。

良さげな竹を畑の隅へ投げると無視された。サヨリの反応と同じだった。付け加えるなら反対方向へ走って逃げた。癖が強いのね、キミは。お母様にそっくりだ。

晴天の元旦の朝日の中で、まさか畑に来るなんて。呼んでも来ない姫を横目に、畑を眺めながらの缶コーヒーは美味である。

───夏はマダニが心配だけれど、冬はドッグランさせても良さげであった。

畑で散々遊んだお転婆娘、今日一日お利口さんに出来ました。午後からやって来たお客さんの相手をし終えたのは夕暮れ時である。コロナ前なら晩飯も如何だけれど、コロナ以降は早仕舞いである。お客さんを送り出し、そのままサヨリの元へとテテテテテ。

鉄の扉を開くと僕の足元へ駆け寄るサヨリであった。今日のスリスリはいつもの３倍。姫の残り香が気に入らない感じある。意地らしいね、ちゅーるをあげよう。

───その前に怪獣ね。

緑の帽子を被せてちゅーるを差し出す。ちび怪獣がちゅーるを舐めた。ご飯を食べさせたらブログを書こう。サヨリはコスチェン、中尾彬に睨まれながら二時間もあれば大丈夫。若干更新遅れたけれど、みんなきっと許してくれるさ。

２０２３年の始まりはこんな感じで幕を開けて、今年のサヨリも元気です。