───ハラミだ…。
それは紛れもなく焼き肉屋で食べるハラミだった。
人間、肉を喰ってりゃ幸せになれる。万人を幸せにする味である。厚い肉を弁当にすれば、当然のように固く仕上がる。それは、ある意味で常識。だからこそ、固い肉を僕らは受け入れて来たのだ。
なのに、分厚い肉が柔らかい。
───天山閣の弁当、旨くて人気らしいで。
焼き肉弁当の情報を中学時代の同級生から得たのは、僕が自家菜園を始めたばかりの頃。今から二ヶ月前の出来事である。今まで何度もチャレンジを試みた。けれど、行こうと思っては忘れてしまい、行くぞと思ってはうどん屋に横恋慕。今日、天山閣の前を通り過ぎる直前で焼き肉弁当を思い出したのだ。ちなみに同級生は、このブログの読者でもある。
───今日、食べないと次は無い。
そろそろチャレンジしておかないとデス。
彼から与えられた情報は3つ。
春日のハローズの前の焼き肉食べ放題の弁当が人気らしい事、それが旨いらしい事、閉店前になると半額になるらしい事。その全てが又聞きであり、ガセの可能性さえも否めない。今日は彼の話に乗った結果が幸せである。
───10分間のバイク移動。
お気に入りの公園、傾いた弁当箱、ハラミが作る肉団子、やっぱりな。最悪のビジュアルだけれど、安全運転の為には仕方ない。小さなお手拭きで指をふき、フタを開け割り箸で肉を元の状態へと並べ変える。箸の先から伝わる肉の弾力が、僕の不安を希望へと変えた。
───もしかしたら、旨いかも知れない。
嫌でも高まる期待を胸に、先ずはスマホで弁当撮影。堂々と店の撮影が出来ない僕だけれど、公園の片隅なら話は別。パシャパシャとハラミ弁当をカメラに収め、肉を胃袋へと差し出した。
───やっぱり、ハラミだ!。
カルビ、牛タン、ホルモン…焼き肉で旨い部位を訊かれたら、僕の答えはハラミの一択である。柔らかい食感と、口の中で踊る甘さと、飲み込む時の喉ごしと、癖の無さが好きなのだろう。とは言え食べ放題の弁当である。過大な期待は不幸を招く。興味半分、期待半分くらいで丁度良い。
弁当を食べ始めると話は変る。
───ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
美味しいです!。僕の脂肪が美味しいと言っています。分厚い肉、柔らかい肉、甘い味付け、そしてタレがシェフを呼べ!。食べ放題のタレってワンランク味を落とすでしょ?、普通。食べ放題だもの、そんなに食べられたら困るもの。なにこのタレ、ワンランク上の味を持ってきた。
───言いたか無いけど、美味しくしても大丈夫?。
そんな要らぬ心配すらしてしまう。
先日、茄子に焼き肉のタレをつけて食べたけれど、もうね、こっちのタレが数段上。このタレだけ売ってくれないかなぁ〜。正直、そう思わさせられた。お昼ご飯に680円の価格はどうよ?。その気持、当然ある。けれど、今日はちょっと贅沢で!。そんなお昼なら勧めである。
───これに加えて半額チャンスもあるのかよ?。
同級生からの3つ目の情報が頭を過ぎる。このグレードであるのだから、昼食時間をズラす価値が十二分にある。春日で仕事のお昼は仲間も巻き込んで買い出しに向かおう。
ガセじゃ無いことを切に願う。
コメント
人脈は宝、って本当ですね。こんなに、満足させる情報をくれるんだもの。情報通の同級生、お宝人材。ところで、タイトルのなごみのハラミって、語呂と音感がいい感じ。胃袋を満足させて、心をなごませるから、なごみのハラミ?店主の心意気なのかな?
地元のお店は口コミの影響力が大きいですね。何それ美味いの?、行ってみる。そんなノリでお試ししています。美味しかったら記事に書いて、そうじゃ無ければお蔵入りのスタンスは崩しませんが、友人筋で紹介されたお店のハズレは少ないです。なごみのハラミ、いい響きですね。また食べたくなりました(笑)。