───気になる。
お寿司屋さんなのに唐揚げだと?。
店内ポスターに違和感を感じる。いつからそうなのだろう、以前からそうだったのかも知れないけれど、「小僧寿しにからあげ弁当あるよ」そんな噂すら耳にした事も無かった。
いつもそう、いつだってそう。気になり始めると止まらない。「唐揚げありますか?」と店員さんに尋ねると、「もっと早い時間でないとありません」との回答が。その日は「さざなみ(12貫)」を購入してレビューを書いて終了する。
───チャンスがあればお昼ご飯に。
いつもなら、チャンス到来の前に忘れてしまう僕だけれど、チャンスはすぐに訪れた。俺、ちょっくら小僧寿しの勢いで、からあげ弁当を買いに走る。のり弁価格の唐揚げ弁当。そんなのがあるのを知っていたら惹かれるに決まってる。
───安いは正義!満足したランチ候補に追加しよう。
小僧寿し「からあげ弁当(4個入)」350円
入った事は無いけれど、中学の頃からあったよな、この小僧寿し。昔は誰か彼かお客さんが入っていたけれど、今はお客の姿もまばら。今日に至っては僕だけ。真昼間なのに店員さんもワンオペだ。
腐っても鯛で寿司は寿司。昭和の僕にとって、やっぱりお寿司には特別感がある。軽く優越感に浸りながら、ガラス越しに歩く人々をよそ目に声高らからに注文する。
───今日は、からあげ弁当、できますか?。
今日初めてのお客なのだろうか、店員さんが軽く慌てた感じが新鮮だ。「10分ほどお待ち頂けますか?」知ってる、それ嘘でしょ。5分後にからあげ弁当が出来上がった。
───その弁当のビジュアルに80年代の香りがした。
目でみて、鼻で嗅ぎ、舌で味わい、脳で楽しむ。もうね、目だけで脳が楽しんでいた。あったよね〜、昔の弁当ってこんな感じだったわ。この感覚が分かるアナタ、そりゃ、今日からお友達です。
───お弁当箱が懐かしい。
高校生の頃、偶に、稀に、成り行きで。
部活仲間と年に数回だけ食べられた弁当屋さんの弁当がそこにはあった。小僧寿しで、こんなサプライズと出会えるなんて想定の範囲外。左茶色で右黄色。蓋を開けるとアツアツの鶏からが4個。玉子焼きとカニカマの間にマヨネーズ。
お弁当には珍しくキュウリが見える。細く刻んだ沢庵の黄色の面積がモンゴル帝国ほどに広かった。弁当の要であるご飯もしっかり詰まった感じ。箸袋には、いつもお辞儀をしている寿司職人。一度で良いから彼の顔を正面から見てみたいものだ。
───これなら量的にも十分だ、これだけあれば午後からも頑張れる。
外はサクサク、中はジューシー。
僕の弁当の比較基準はほっともっとなのだけれど、ほっともっとのお弁当に比べて落ちるという印象は無かった。おかずの品目も多く、多いと感じたたくあんが良い仕事をしている。シャリは寿司の命。寿司屋だけにライスも美味い。
───全体的にバランスの良き唐揚げ弁当。
僕のランチ候補がまたひとつ。
小僧寿しのからあげ弁当、知らない人が多いのだろう。価格と味を知ってたら、スーパーの惣菜やコンビニ弁当よりもこっちを選ぶと思うランチタイムだった。
午後からもご安全に。
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