午前0時の小悪魔

午前0時の小悪魔
うちの猫の話

───そんなの可愛いの暴力じゃないか!。

蝉の鳴く頃の僕と愛猫との間合いは遠い。夏は互いのパーソナルスペースが一気に広がる季節である。最初からそうなのだから、今更、どうこうなる問題でもない。肌が合わさるだけで暑いのだ。

猫は快適な場所を見つける天才である。今日はこっち明日はあっち。気が向いたらクーラーハウス。最適な温度と湿度を察知して、日々、自分の居場所を変えている。彼が僕の領域に進入するのは、御飯とか、ミルクとか、散歩とか。彼にとって一大事の時のみである。

───気温が下がれば状況の変わる。

昨今のサヨリは食事とミルクを飲み終えると、小さなAmazonの箱の中へ身を隠し、11時になると、決まって身を起こす。その後、ドアの前で姿勢良く座る。僕と鉄のドアとを交互に睨み、僕が気づくのをひたすら待つ。

───あっ、そっか…。

ドア前からの厳しい視線に散歩時間を悟り、リードを手に取る。すると、サヨリはそっと頭を上げる。首輪とリードを繋いでもらうためである。ドアを開けると忍者のように外に出る。その無音っぷりに、宙に浮いてるんじゃないのかという錯覚すら覚える。

数年前ならアスファルトにうなじを擦り付けていたのだけれど、齢15を越えるとそんな事もなくなった。国道を通る車を監視する堂々とした後ろ姿は、さしずめ合気道の達人である。隙のない筋の通った背骨に惚れ惚れしてしまうの毎度の事だ。

───互いに無言で外を眺め、互いに無言で塒へ戻る。

ただそれだけ。

夏はそのまま現地解散。僕はようやくポメラを開く。今は隙を見てはiPod touchを開いているのだけれど…まあ、こんな日もある。

───1時間1000文字レースの始まりだ。

とにかく僕は初動が遅い。

頭のエンジンが回らない。調子に乗るのは500文字を越えた頃から。そこまでがなまら長い。午前0時を過ぎたあたりで一気に加速が通常モード。

サヨリの定位置、小さなAmazonの箱はデスクの上に置いてある。ポメラの液晶から視線を右へ動かせば、箱と一体となったおじいちゃんの揺れた尻尾。

───あるべき場所にいつもあるもの。

いつもそんな風。

午前零時からは夜の運動。運を動かすと書いて運動である。大きく身を伸ばし、欠伸をしてから活動開始。猫は夜行性である。幾ら老猫と言えど、昼よりは活動的になる。今夜も静かに動き始める。法則、原則、ものの道理、その中を静かに流れるサヨリの理。

───はい、ごめんなさいよ〜。

箱の中から出向く先は僕の膝の上である。当然のように、当たり前のように、王様の顔立ちで膝の上でゴロゴロと喉を鳴らし、ちょいちょい顔を上げては頭を撫でろと要求する。

───その命令に逆らえる奴っている?。

ブログの記事を書き上げ公開予約を済ませた頃、ゴロゴロはグーグーと音色を変える。時刻は深夜1時を回ったあたり。起こすのも可哀想だし、僕は寝ないと明日が辛いし、かと言って、新記事に着手すれば頭が冴えて眠れなくなるし。困った半分、嬉しい半分。

───午前0時の小悪魔。

来年のスイカの季節まで、この行動は終わらない。何が言いたいのかというと、小悪魔の魔法に掛かり、昨夜は500文字辺りで寝落ちして、サヨリは今日も元気です(汗)。

コメント

  1. サヨリさんの日常。たんたんとしているけど、ほっこりとして、お彼岸の中日に、ちょうど良く穏やかに楽しませてもらいました(笑)。 以前、読んだ本で、イギリスの動物学者のジョン・ブラッドショー博士の、〔猫的感覚、動物行動学が教えるネコの心理〕既に読んで、ご存知かもしれませんが、興味深かった本のひとつで、また読み返してみようかなと思いました。

    • 茶熊さん、おはようございます。

      血気盛んだった頃は、毎日、何らか事件を巻き起こしていたサヨリですが、今はほっこりとした日々を過ごしています。何も無いからブログへの登場も少ないのだけれど、定期的に近況報告をして行きたいと思います。

      「猫的感覚、動物行動学が教えるネコの心理」は初見でした。チラ読みしてみましたが、これ、学術書ですよね(汗)。表紙と中身とのギャップが大きかったです。機会があれば読んでみたいと思いました(笑)。

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