プラモの雷電にウェザリング(汚し加工)

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雷電(汚し加工)
ハンドメイド・DIY・工作
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───さぁ、汚そう。

雷電に厚めに塗ったグリンの塗料。次の工程はウェザリング(汚し加工)である。知ったかぶりで書いているけど、僕にはプラモの塗装経験が全く無い。アムロのファーストガンプラブームのど真ん中を生きていたのにも関わらず。

───買えないんだよ、ガンダムが。

第一次ガンプラブームの到来は1982年、中学三年の春である。模型店に予約の概念すら無き時代であった。先輩、後輩、友人らはすべからく、模型店へ毎日のように足を運んだ。

あった、無い。買った、買えない。その競争率たるや異次元で、ただのオモチャの筈なのに鬼気迫るものすらあった。現在のような多様性とは程遠く、ブームは一点集中だったのだ。大人も子供もガンプラを買い求めていた記憶だけが残ってる。

───流行ってるらしいよね、ガンダムのプラモデル。

僕はというと部活の方が忙しい。中三故に受験生でもある。つまり、ガンプラを買う暇も作る暇も無かったのだ。当然のように流行には乗り切れず、嵐のようにガンプラブームは過ぎ去った。その僕が40年後にプラモデルの塗装をしているのだ。人生、先に何が起こるか分からないものである。こんな事ならドムの一体くらい作っときゃ良かったな。

───で、どうやんの?。

ウェザリングとは質感を出す作業だと解釈している。だったら粘土の知識も使えない事も無い。そんな気がしてピカピカの機体にヤスリを掛けた。800番で荒く磨き、1000番で仕上げてみると質感がグッと上がった。

───なんか、よさげ。

いと雅である。翼や機体の所々。厳密に言えば飛行中に風当たりに強い部分。そこにチョンチョンと銀色のペイントマーカーを塗り付けてキッチンペーパーで拭き取る。それでも塗装の剥がれた感じに見えた。そこから先は、プラモデルをキャンパスに絵を描くようなものである。それっぽい雰囲気で立体感を出してみた。

その途中でデカール(シール)を貼り付ける。3種類の機体番号の中から元山航空隊所属機を選んだ。友人ならば、きっとこの機体を選ぶと思う。目覚めて見たらビックリすると思うから。平均台を渡るようにデカールのバランスを取る。きっと微妙な差が出来栄えの明暗の分けるのだろう。慎重かつ大雑把に作業を進めて青ざめた。

───あっ、日の丸デカール間違えた!。

いつもそう、いつだってそう。時間に追われると失敗する。でも、もうコレは、もうコレだけは取り返しのつかぬ失敗だった。とは言え失敗は人生の年輪だから。気にしない、気にしない。これについては後で考えよう。赤丸の白枠が無いだけで、こんなにも間抜けに見えるのだなと少し泣く。誰か…バスタオルの用意を頼む…。

僕の目の前でピシっと座る愛猫サヨリ。「怒ってる?」、数十センチ先から放つ危険なオーラーを感じながら。「ねぇ、コタツで寝ないの?」時折、声を掛けながらも、サヨリは聞く耳を持たなかった。

───エアブラシ欲しいのな。

色を徐々に変化させるグラデーションの表現は、僕の腕では到底不可能。こちとら筆一本だから勝ち目も無い。粘土で培った知識を総動員して、それっぽく見えたところで筆を置く。汚し過ぎは良くないらしい。写真を撮ったら今日はこれまで。この記事を書く時間が無くなってしまうから。

───更新時刻、1時間前の出来事。

そっとプラモと道具を片付ける。その指先をサヨリの視線が追いかける。明らかに獲物として認識しているのだろう。目が離せない緊張感。彼の手が届かぬ場所に全てをキチンと片付けて、僕はポッケの中で暖めていたちゅーるをサクッと取り出すと、サヨリは「ニャっ」と小声で鳴いた。お利口さんにしていただろう。そう言いたげな顔をして。今夜はイブの夜だから特別に2本差し上げよう。だってそうでしょう?、明日は猫の日なのだから。

さぁ、召し上がれ(笑)。

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