2021年2月28日を最後にInstagramへの投稿が止まる。数時間前に「また明日」と書き残して、それっきりこれっきりなど日常。自分が消えても何も変わらない毎日が続く。 SNSとはそういうものだ。それは百も承知。
かく言う僕は、そのつもりなど微塵も無かった。無かったのだけれど、1週間が過ぎ、10日、1か月と時が進むに連れ、復帰のタイミングを完全に失ってしまった。スナックお登勢の窓格子にしがみつく神楽のように。出るに出られない状況が続くアル。
春が過ぎ、夏が過ぎ、秋の気配を感じ始めた9月2日。少し良い写真が取れた。そこで、誰もが忘れたであろう、老猫サヨリの写真をこっそりと投稿した。何も起こるはずのない。「いいね」なんて貰えるはずのない。ゼロからの投稿。そのつもりだった。
だってそうでしょう?、無断欠席半年って、会社だったらクビですよ、クビ。デスクなんてとうの昔に処分済みですよ、普通。なんつーか、気が重かった。
そんなドキドキとは裏腹に、画像を投稿するや否や秒で「いいね」が付いた。「マジか!」だった。「誰?」だった。記憶の中に鮮明に残る数々のアイコン。それが懐かしく感じられた。「いいね」のお知らせの中にコメントも残された。
「気にしてました」「お元気そうで何より」「嬉しいです」サヨリさんは忘れられてなど無かった。半年前、2月28日の投稿と同じように出迎えてくれた。ありがたい。今夜は鯛のお刺身だ。ちょっと、マルナカ行ってくる。
投稿から1時間を過ぎた頃。サヨリさんへの「いいね」は200を超えた。翌日には400を越える「いいね」を頂いた。ようやくそこで「帰っても良いんだなぁ」と実感した。
インスタグラムは映えの世界。年老いた老猫のシャッターチャンスは極めて少ない。ご飯とトイレ以外で目を覚ます事もない。基本、1日を寝て過ごす。そこに映えの文字など無い。
けれど、あと何年かサヨリさんも頑張るだろう。映える事は無いのだけれど、良い感じの写真が撮れるよう、僕も努力しようと思う。2017年2月。ハイタッチから始めた初投稿。それを見直して腹を括る。
お待たせしました。お待たせし過ぎたのかも知れません。サヨリは今日も元気です。インスタグラムへ復帰しました。インスタの皆様、ただいま(笑)。
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