丸い網を囲う三人の男。始まる宴、燃え上がる煙、焼ける肉の塊、食欲そそる脂の香り。ズッシリと重いタブレットの中で出番を待つメニューの数々。ハラミ、ロース、カルビ、ホルモン…牛、豚、鶏なんでもござれ。石焼ビビンバ、野菜クッパ、カレーにうどん。宴の〆には、あっさり冷たい杏仁豆腐やアイスクリーム。そしてケーキは別腹で。
3,278円で食べ放題。歳を取っても、食べられる量が減っても、軽く心が折れていても。焼き肉に心が躍るのは本能の成せる業。胃袋よ、これからタンパク質を、オレはどんどんおみまいしてくぞぉ。だってそうでしょう?。農耕生活を手に入れるまでの600万年もの間。ずっと狩猟採集生活で生き抜いた我々人類、肉を求めて当たり前。人間、肉を食ってれば幸せになれる。人生の苦痛からの逃避は焼き肉と猫だけです。

初めての焼肉きんぐ。記念すべき一品目を頬張る長男にスポンサーとして目を細める。口の中で踊るのは、カルビでも無くステーキでも無く「とろろTKG(卵かけごはん)」…て、何でやねん?。おい。肉を食え、肉を。焼肉屋でTKGとか頼む必要なんてねぇんだよ!。親として突っ込んでおきます。二人の息子からのカミングアウトはこのあと1分30秒後から始まります。
焼肉きんぐ、網替え3回

高松の焼肉食べ放題の相場は2,000円くらい。3,278円というお値段は軽くインディージョーンズで冒険者。自称きんぐ経験者の長男に聞く。何かあったら大変だ。財布が三倍の速度で襲われる。
「これ、全部頼んでも良いのか?間違って注文する事ないんか?」
「そうなってるから」
「最近のメニューはあれだな、ハイテクなんだな。で、どこに取りに行くんだい?」
「持って来てくれるからじっとしてて。」
「はい。」
手慣れた手つきでタップする長男。こいつ…プロだな。カラオケの予約の係のように止まらない指。どんどん…どんどんどんどんとぉ…それ、誰が喰うんだ。で、文頭の「とろろTKG(卵かけごはん)」が登場。それはアレですか?、前菜ですか?、お通しですか?、それだけでお腹いっぱいになりませんか?。なかい君の学スイッチで見た10倍美味しいTKGと味の違いはありましたか?。
時を待たずして次々とお皿を運ぶ店員さん。ハラミ、きんぐカルビ、ハラミ、きんぐカルビのヘビーローテーションでたまにエビ。目で見て、鼻で嗅ぎ、舌で味わい、脳で楽しむと言うのだけれど、次々と広がる肉の森。見てるだけでお腹いっぱい。食べきれなかったら…ギャル曽根…呼びますか?。
厚くもなく薄くもなく、ちょうどいい感じの肉厚。記憶の中の食べ放題のお肉とは雲泥の差。いいお肉です。今はどこでもこんな感じなのかな。コンビニ弁当も進化したけれど食べ放題も進化したんだな。何が凄いってタレが旨い。これじゃ止まらなくなるよ、みんなの食欲。普通ここはイマイチのタレで食欲減退でしょうに。軽くお店の経営を心配してしまう。
どんどんどんどんとぉ~整然と網の上に並ならべられ、そして消えてゆく肉。定位置に戻れないメニュー、止まらぬ指先、二杯目のTKG。薄っすらと立昇る煙をATフィールドに、突如始まるネルフ会議。三回目の網チェンが行われた後、素朴な質問の口火を切ったのは僕だった。
「エヴァ観た?、映画の」
「観たよ」「うん、観た。2回も観た!」
「銀さんは?」
「行った」「うん、観た。兄ちゃんと行った」
「ふたりで映画見に行ったんだぁ~…父さんを捨てて…」
「まぁ…」「エヴァも銀魂も一緒に行った」
「そっか、そっか、父さんはシン・ウルトラマン観に行くよ…ひとりで」
「…」「ミサトさん、死ぬんやで」
「今、随分な告白してくれたね?」
「…」「サービス、サービスぅ!」
BGMには「次回予告」。そんなサービス要らないから。

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