───これ程かっ!。
これから我々はPSB(光合成細菌)の培養に入る。
メダカの稚魚の餌として販売される商品だけれど、野菜へのエナジーチャージが僕の目的。風の噂で聴いた話なのだから、その効果への信憑性は限りなく薄い。けれど、ダメならダメで、メダカ狂いの知り合いにあげれば、きっと喜んでくれるだろう。
曰く、臭い。曰く、鼻が曲がる。曰く、ドブの香り。見た目はトマトジュース、中身は溝渠。でも、ダイソーのロートがあるから怖くない。だってそうでしょう?、ペットボトルとロートが直結。こぼれる心配が無いのだから。これでこぼれたら、こぼしたヤツが悪いのだ。それに、どんなに臭くてもそこまで臭くは無いだろう。そんなぶらり散歩気分でPSB培養に取り掛かる。
舞台はいつものデスクの上、純白の作業台。
───ドブから漂うみちづれのかほり。
準備したのはPSB、エビオス錠(PSBの餌)、水道水、午後の紅茶のペットボトル(500㎖)2本、そしてダイソーのロート。何かのフタを開ける前はいつもワクワク。PSBのキャップを開いた瞬間、僕の嗅覚が異臭を感じる事は無かった。こんなものか…大袈裟な。念のため鼻先をボトルに近づけると全力で咽せた。突然の異臭に僕の嗅粘膜がやられた。どうにも咳が止まらない、まさしくそれはドブの香りであった。こんな事ってある?。
悪魔の囁きは、時として天使の声に聞こえる。決めた、決めた、と牧村三枝子のコブシが唸る。
───誰かをみちづれにしなければ…。
デスクへのクライミングを試みる愛猫サヨリを何度も床に下す。コイツは絶対ヤバいやつ。フレーメン反応が止まらなくなるに決まってる。記事ネタとして面白そうだけれど老猫には毒である。後でちゅーるをあげるから少しだけ待ってなさい。それでも諦め切れずに足元で踊る老猫を、右足に戯れつかせながら僕は培養作業を進めた。
今日もサヨリは元気です。
───PSB培養の手順は以下のとおり。
- ペットボトル半分にPSB投入。
- ペットボトル一杯になるまで水を注ぎ込む。
- エビオス錠を2〜3錠投入。
- PSBは嫌気性細菌なので空気を残さずキャップを絞める。
- ボトルを振ってエビオス錠をPSBと混ぜ合わせる。
- 日当たりの良い場所に置いて放置。
- 定期的にボトルを振ってあげましょう。
この作業は時間にしてわずか5分(ペットボトル2本分)。エビオス錠もびっくりする程すぐに溶けた。これでPSBの無限培養が可能なら楽なものである。何でも畑で保管する僕だけれど、PSBはデスクの上から色の変化を楽しもう。もしもの事故、悲惨な出来事が起こらぬよう、午後の紅茶のパッケージは外しておいた。念のため、黄色と黒の注意を促すシールを添えて…。





ここでの飲み会、しばらく禁止な!。
何が言いたいのかと言うと、PSB培養を室内で行うと家族の誰かに怒られます。PSBの培養は換気の良い場所か野外で行いましょう。また、夏休みの自由研究の題材にすればテーマが重ならなくて良いかもです。
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