───フリーズ様・・・。
調子良く、気分良く、軽快に、キーボードの上で踊る指先。年寄りだけれど割と速い。快調に作文をしている最中にフリーズ様の悲劇が訪れた。キーを叩けど反応せず。アクセルべた踏みでキータッチのクロックアップをし過ぎてしまったようである。さぁ、行きますよ。ドドリアさん、ザーボンさん、こんな時は一度電源を落として再起動をすればね・・・。
───なにぃーーー!!、電源が落ちないではありませんか!。
電源落ちずテンション落ちた。
固まる画面、押し続ける指先、そこから伝わる不気味な絶望感。この症状、非常にマズイ香りする。気を取り直して画面を閉じる。一度、外へ出て大きく深呼吸してデスクに戻る。よしイケる!。画面を開くと電源が落ちていた。電源を入れれば元に戻る。そう、元に戻るはずだった。昨日の夕暮れ時の出来事である。
───電源が入らない!。
入んないんだよ、押しても、押しても、電源が!。これは困った、いよいよ困った。だってそうでしょう?、ほっともっとの作文がポメラの中で眠ってら。ブロガーなら分かると思う。一度書いた文章は、二度と同じに書く事など出来やしない。あの絶望感は心温まる絶望的ドラマへと装いを変化させた。チェックメイトの響きあった。
───ポメラは後で考えよう。
今日の更新が出来ていない。つまり、今はケツカッチン。時間の猶予が無くなった。「ほっともっとのから揚げ弁当・・・」昨日投稿した記事である。思い出しながら書く文面には勢いがまるで無い。から揚げは無理っす、別のネタの記事で行くっす。時間はまだある。こんな時の最悪手は慌てる事である。これまで慌てると碌な事があった試しが無い。
───今日も一日後安全に。
老害爺と言われぬように、いつも心に余裕を持ちたい。言い伝えでも、昔ばなしでも、神話でも、年寄りはゆっくりと動くものである。亀の甲より年の功、そうしてるうちに状況が、勝手に変わる事も知っている。いつものスケッチブックに筆ペンで新たなネタをマインドマップ。
───これ、AIに入れたら良い感じの文章を吐き出すらしいぞ。
知ってた?。
今のAIってSF小説も書くんだって。ヒューゴー賞受賞SF誌が、そうそう、ヒューゴー賞は、1953年の世界SF大会で創設された賞だけれど、言ってみればSF文学界のアカデミー賞のようなもので、AIで書いた小説の投稿が相次いぐものだから、賞の受付を一時停止してるニュース読んだ。
───ヒューゴー賞を受賞したのはAIでした。
そんなSF小説のようなニュースの見出しが現実味を帯びて来た。コンピュータは記憶力抜群だから伏線も回収もバッチリで、一切の矛盾無き作品を吐き出だろう。80年代に登場した直子の代筆以来、何となく予想していたのだけれど、もはや人間様が紡ぐ小説よりも、AIが吐き出した作品の方が面白いのかも知れません。ブログでのAI活用は過去の記事でも取り上げたけれど、小説まで吐き出されたら、そりゃもうお手上げです(汗)。
───で、ポメラは?。
AIの事を考えながら、ふと真っ黒なポメラの画面に電源ボタンをポチッとなするとあら不思議。何事も無かったように、画面に可愛らしい丸文字で「Pomera」のアルファベットが浮かび上がって、今日もサヨリは元気です。
───こいつ、動くぞ。
画面に表示された「ほっともっと」の記事を読み返す。完全体では無かったものの、ほぼ完全な状態で表示された。つまり、セーフ!。何分、女神に託されたポメラである。どこで壊れたの?、そんなレベッカのフレンズみたいな記事など書けないよ。最悪修理?、それとも新しいの買って部品交換?。そんな事すら考えていたのだ。だからほっと胸を撫で下ろして少し泣いた。
───平然と装いながらも、内心で寿命が縮む思いだった。
ちなみにデータはSDカードで管理しているもの。ポメラ内部に保存するとバンされたという報告が幾らか見られたからである。だから記事はSDカードで管理して、「アプリ接続」からiPadへデーターを飛ばす直前に本体へデータを移動させ、転送が終われば再びSDカードに戻していた。
───つまり、過去記事データに関しては大丈夫なようにしている。
この記事は目覚めたポメラで書いている。キータッチは確認も兼ねてのクロックアップ。30分で外郭を仕上げた。爆速で書き進めてそろそろここで書き終わり。この間、一度も不具合など起こっていない。
───いつもと同じ操作感である。
ポメラDM250が止まったのはこれで二度目。キータッチか何かのタイミングが悪かったのだろう。今度も同じような症状に陥れば、ゆっくりとこの記事を読み返してから再度電源を入れようと思う。
───たぶん、きっと、絶対、動く!。
いつまでも寝ていたら、何度でも、どんな事をしてでも起こすから大丈夫(笑)。それは、病床につくの女神へ向けての思いでもあった。それから数日後、女神の訃報を知らされる。ポメラが壊れた日、彼女が虹の橋を渡った事も。
───いつでもいい、何年掛かってもいい。あなたの本が読みたいです(笑)。
そして今、彼女が待ち望んだ小説を書いている。女神から授かりしポメラと共に。
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