おぼろ月夜の恋の辻占

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夕映えが美しいように 老人の場所から見た世界は美しいのです
雑記・覚書き
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 淡路島 かよう千鳥ちどりや 恋の辻占つじうら

 ビアガーデンの帰り道。涼しい風が頬を撫でる。そんな心地よき夜であった。そのはずであった。バディが僕との約束を破るまでは。バイクを飛ばしてポメラの元へとひた走る。だってそうでしょう?、今夜のブログ書いてない。書く内容も決めてない。つまり、今夜の投稿にパトランプ。ピポピポと非常サイレンが止まらない。投稿ストップ。それだけは避けたい。だから、メットの中で愚痴しか出ない。それは、アナタも同じでしょ?

 何だよ、何だよぉ~ 八時に帰るって約束したやん。あれだぞ、辻占はくじみたいなものだけれど、誰が九時過ぎまで飲んでんの?

 今夜の集会は下請けの慰労会であった。会費は不要、八時に撤収、おいらはウーロン茶で我慢する。それが僕から提示した参加の条件である。ガーデン入りは午後六時。二時間も飲ませときゃ、ご機嫌さんで帰るであろう。その考えが甘かった。大きな大きな誤算であった。

 バディは酒飲みであった……

 事前に入手した情報によると、バディの許容範囲はジョッキ一杯だと聞いていた。確認すると本人もそう言った。それなのに、枝豆をしゃぶりながら、しれっと一杯を飲み干すと、真っ赤な顔でにやけ顔。気持ちが良いならそれは善し。さぁ、ビールはここまでな。あとは水でも飲んでいなさい。

 夕陽が瀬戸の海へと沈む頃。

 顔見知りらが僕らの席に座り込んだ。違和感というより嫌な予感。気を良くしたバディはスクッと席を離れる。トイレかな? しばらくすると、二杯目のビールを片手に席に着いた。俺に謝れ、店長に謝れ。契約違反である。

「おい、大丈夫か?」

「お、おう」

 聞いているのか?いないのか?

 君に届け、ジジイにも届け。

 バディは、さらに顔を赤らめてニヤニヤしている。絶対、相手が誰だか分かってないだろ? そして気づく。全てがガセだったことに。チビチビとウーロン茶を飲みながら、僕は八方美人を演じ続ける。一応ね、会社のイメージつーのもあって、今日もサヨリは元気です。

 日が暮れた。もう、帰りたい。

 ジジイを放置して帰ろうか? 悪魔の囁きは時として天使の声に聞こえる。けれど、僕にも人間の心が残っているようでそれも出来ない。なるようになれ。そこからジジイ放棄の策に打って出る。お得意の放置プレイ。ウーロン茶を手に持って、僕は若い顔見知りの席に移動した。バディは寂しがり屋さんである。彼の活動限界まで多く見積もっても三十分。

 それまで放置、放ったらかし。

 その若者とは業種は違えど長年の仲である。コロナで久しぶりの再開も相まって、こっちはこっちでよろしくでござる(笑) 馴染みの薄い強者相手に、バディはいつまで耐えられるのか? バディの同行を伺いながらも、僕らは会話に話を咲かす。ほら、思ったとおり(笑) 三十分も持たずして、僕のスマホが大声で泣いた。

「いま、どこ?」

「あんたのうしろ」

 ホラーかよ(笑)

 秒で振り向き、ホッとしたような顔でニコリと笑う。

 息子かよ?(汗)

 このままでは置いて帰られると悟ったのであろう。僕に向かって、おいでおいでと手招きをする。

「おうちに帰るか?」

「お、おう」

 時計のデジタルは午後九時を回ったところ。電車の時刻と照らし合わせると、ブログを書き始められる時刻は十時過ぎ。よし、イケる! ギリ、イケる! 

 正直、今夜は冷や冷やした。記事のストックをしなかった自分が悪い。でも、約束を守らないバディだって如何なものか。そう思いながらも、隣のヨッパが無事に帰えれるのだろうかと心配もする。

「おうちの玄関に入るまで。それまでは仕事だから。気をつけて帰るんやで」

 そう言い残し、僕はバイクのエンジンを回す。まぁ、楽しくて時間を忘れたのだろう。仕方ない。そう思っていると、バディは別れ際にこう言った。

「次からは八時に帰ろな(笑)」

 確信犯であった(怒)

 おぼろ月夜の恋の辻占つじうら

 帰り道、辻占売りの少女と出会ったら、一回くらいくじを引こう。それくらいの時間は出来た。結局のところ、リミットのギリギリになってしまったけれど(汗)

コメント

  1. おぼろ月夜の恋の辻占…ステキな言葉の響きですね。僕も引いてみたくなります(笑)。でも、やっとの思いでバディから解放された後の恋みくじ…「年上男性とのご縁あり」と書いてあったらイヤだな~。心配になります。僕も下戸だから、長時間お酒を飲む人と一緒にいるとキツいです。本当にお疲れ様でした。

    • おぼろ月夜の恋の辻占。

      昭和の頃の時代劇のセリフなんです。いつか使おうと思っていたのに、よりにもよってガーデン記事に使うとは。焦っていたのでしょうね(汗)。僕は飲み会が苦手な人なので数時間なのにとても長かったです。今度はうまく逃げようと思いました(笑)。

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