ぶっかけ冷(大木戸・牟礼町)

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大木戸 ぶっかけ冷
香川県・うどん・遊び場
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───畑、仕事、ご指名、介護。

皐月の閑古鳥が悲鳴を上げて逃げ出す水無月。ゆっくりと時が流れる桃畑の日々が続くのかと思いきや、ここに来てスケジュール調整が困難を極める。

───明日、徳島に行けるか?。

一瞬考えて了解を出す。その2分後に気づくダブルブッキング。青ざめながら再調整。桃畑どころか、自分の畑さえ顔を出せない。iPadのカレンダーを見ると、6月は気が抜けない状態になっていた。

───こんなの初めて。

今日は庵治の石屋さん。自社運営サイトの件で相談があるのだとか。スクーターを購入したのがバレたのだろうか?。お得意様が容赦をしない。もうね、誰から聞いたの?。田舎ですもの、何をやってもすぐにバレる。

何が言いたいのかというと、

───今日もカロリーメイトじゃない!。

庵治町と牟礼町。

どの石屋さんへ行くときも、竿を持って釣りに行くときも。お昼は大木戸でうどんを飲む。少し走れば全国的に有名な山田家もあるけれど、庶民はやっぱりセルフです。

大木戸2022年6月

───ぶっかけ冷小。

冷たいぶっかけが僕の夏の定番で、懐が富豪なら肉ぶっかけだけれど、コロナが始まってから「肉」の一文字が言い出せない。カロリーメイト生活を続けたせいか、「小」で満足出来る体になった。いつもそう、いつだってそう。トッピングはいつものコロッケ。

───冷たいなぁ、塩が効くなぁ、美味しいなぁ。

午前中に畑と桃で汗を流した後のぶっかけ。冷たい出汁が五臓六腑に染み渡る。軽く濃い味付けのソルトパワーで疲れが吹っ飛ぶ。塩が抜けた体に塩を投入しているのだから、出汁が旨いに決まってるけれど、旨いモノは美味いのだ。

───そして、目の前に見えるは巨人眠る五剣山である。

大木戸から見える五剣山

食べ慣れた麺と出汁を飲み込んでいると、今日とは別のお得意さんが僕の前に座った。大木戸あるあるだ。それにしても、いつ見てもデカい。月の陰に太陽が隠れる日食のように、窓越しに見えた五剣山が視界から消える。お盆には溢れんばかり皿の山。それを見てしまったら、もうトレイから目が離せない。

───肉うどん3玉、コロッケ、さつまいもの天ぷら、大食いチャレンジ開催決定。

すげぇな、若けぇな、腹壊すなよ。

未だコロナ禍。故に透明ボードを隔てて差し向かえ。お互いに作業服。それはどちら側から見ても鑑別所の面会シーンのよう。軽く会釈をし、軽く世間話に花を咲かせる。午後の予定を訪ねられ、素直にそのまま伝える。小さな町だもの、これくらい話しても守秘義務にはあたらない。

───では、良い話があったら教えて下さいね。

お約束の言葉でランチタイムを締めくくる。お盆に乗せた丼を返して店を出る手前で呼び止められる。

───用事が終わったら、うちんくにも寄ってくれ。

今年の6月、勢いある。

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