「ゴロゴロ、ゴロゴロゴロゴロ…。これを持って、地面に伏せるとバイクになれますか?、お父さん。ブンブン。」
「それは無理だよ、サヨリちゃん。仮面ライダーアクセルじゃないのだから。ブンブン。」
「ボク、これ見たことあります!。GACKTさんがテレビでやってました。お父さん、あんなの出来るの?。」
「この際だから、サヨリちゃん。ひとつ良いことを教えてあげよう。それがそこにあるからと言って、それを僕が使いこなせるとは限らない。いや、使いこなせる可能性は極めて低い場合が多い。」
「何にも出来ねぇ〜、って小難しく言っているだけにしか聞こえませんね。」
「そしてこのアブローラー、素人が手を出すととんでも無いことになるから気をつけろ!。お父さん、腰をやりました。今日は腰が痛いです。」
「お気の毒。」
アブローラーで腰痛になった、痛い!
「無理しましたか?、お父さん。無理したようですね、腰が曲がっていますよ。今のお父さんは、おじいちゃんにしか見えませんよ。小太り爺さん。」
「いゃ〜、軽く流すつもりで、昨日の夜に20回ほどアブってみたんだよね。たったの20回だけ。その時は、良い感じにお腹の筋肉が張っていたので、安らかに眠りの床へ着いたのだけれど、今、腰が痛いです。筋肉痛なら喜ばしい事だけれど、骨が痛い。そして、腹筋に大きな変化はありません。痛くも痒くありません。想定外の地獄を味わっています。」
「腰だけがやられたんですね、腰が弱いから、ヘルニア持ちなのに。腰への負担を軽減するための懸垂だったのに、アブローラーで粉砕されましたか。重ね重ね、お気の毒。お気の毒の極みですね。」
「でもね、まだイケるから。大丈夫だから。今、筋トレを休む事は出来ないのだから。」
「無理しちゃって、お父さんお得意の『何でも最初の3ヶ月』ですか?。」
「せやな。痛いけど…。」
「突然の筋トレ宣言で、懸垂マシーンは来るわ、グローブは来るわ、アブローラーまで来るわで何事かと思いましたけれど、三日坊主ではなさそうですね。もしかしてお父さん、マッチョユーチューバーを目指しているのでしょうか?。ユーチューバーなんて、簡単には儲かりませんよ。」
「それは無いわ、サヨリちゃん。数値データは取っているのだけれど、画像としての記録は無いからね。仮に公開するとしてもアフター画像だけだよ。こんなお腹なんて、自分でも見たくも無いわ。」
「では、お父さんの頑張りをボクも全力でサポートします!。その所存です。」
「何考えているの?、サヨリちゃん。絶対、背中にだけは乗らないでよ。マジほんと、お父さん、壊れちゃうから。」
「バレたか〜、つまんにゃい。」
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