───ハート…型?。
永遠と続く桃の間引き。
ちょっと小耳に挟んだのだけれど、間引きの事を摘果と言うのだそうだ。何それ、カッケー、次から摘果作業と呼ぶ事にしよう。で、その摘果作業なのだけれど、赤か?、青か?の単純作業の連続で脳がいつしかゲシュタルト崩壊。どの実を残すべきかが分からなって手が止まる。一種の思考停止状態。青空、微風、ホトトギス。ヒューストン、赤か青かの解答を求む!。アルマゲドンのワンシーンが目に浮かぶ。脳が再起動するまで休憩を挟もう。カラカラに乾いた喉にポカリの味は極上のロマネ・コンティにも匹敵する。少なくとも、この状況に追い込まれたら誰だって美味いと感じる筈だ。事実、美味い。
リフレッシュ完了───摘果作業を再開した途端、全く違う指ざわり。ハート型の若桃である。産毛が生えた緑のそれはキレイなカタチをしていた。
───こればかり集めたら売れないかな?。
ゲシュタルト崩壊中なら問答無用で地面に直行だけれど、再起動後では話が変わる。邪な考えが頭にへばりついて離れない。通常、摘果した若桃は土に戻り桃木の肥やしとなる。つまり、廃棄処分、捨てるのだ。実に惜しい。だってそうでしょう?、ひと枝に残す実は1〜2個。数珠繋ぎの若桃を何百、何千と落とす。トータル換算なら数万個にも登る。スーパーや八百屋で目にする桃の実は、多くの若桃の犠牲により成り立っているのだ。
───若桃も食べちゃえば良いのに。
僕の足元で転がる若桃、実は食用としての利用も可能である。ネット検索で検索すると一目瞭然。若桃の糖漬け、ピクルス、甘露煮など、様々なカタチに姿を変えて販売されているようだった。何それ、美味いの、食べれるの?。その味もさることながら、美容効果や痩身効果、そんな論文でも発表されたら…。そう考えただけでワクワクが止まらない。
───それが天然のハート型なのだ。
このままでさえヒットの予感。
二つの桃がくっ付いてハートの形に見える若桃。その出現率たるや、桃の木の枝から四葉のクローバーを探すようなものである。つまり、希少なのだ。料理や弁当に添えればインスタ映えもするし、何よりも希少価値が高い…そんな気がする。こんなのやったもの勝ちに決まってる。実勢価格も10倍で売ってもイケる気もした。
───もはやこれは縁起物のカテゴリー。
慕い合う、両想い、思い思われ、相思相愛、ニコイチ、蜜月…。ネーミング使うのならこんな感じだろう。それに桃の実の花言葉を付け加えて、「蜜月天下無敵」とか、「相思相愛天下無敵」とか。
そんな妄想だけで半日頑張れた。
ひっくり返すとプリプリのお尻のカタチに…いや、何でもない。
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