歌は歌って初めて歌であり、鐘は叩いて初めて鐘であり。

ポメラで小説
金曜日(小説の話)

 金曜日は小説の話

 最新物理学の世界では、人類に認識されて初めて物資は現実化するのだとか。それまでは存在が証明されないのだから、それもあながち嘘じゃないのだろう。この観点から考察すれば小説も同じである。誰かに読まれて、初めて小説だと認識される。名作だろうと駄作だろうと、誰かに読まれて初めて小説。それはブログも同じこと。

 ブログとは、記事に翼を与えてネットに羽ばたかせる装置である……知らない誰かに届けるために。そうやって書き続ければ、きっと誰かに読まれるだろう。そんな、淡い期待を抱いて記事を書くのがブロガーである。それはある意味〝業〟と呼ばれるものなのだろう。その先で、誰かの心を揺らせば僕の勝ち。

 僕のブログは、パワーワードで攻め込むトレンドブログとは別の世界。そんな気持ちで書き始めたのは、アクセスの呪縛から解放されてから。アクセスなんて、いらねーよ! 開き直って、今のスタイルに移行させると、アクセスとは実に正直者だった。開き直った途端にアクセスグラフは急降下───なるんだぁ……実際。この現象に自分でもウケた(笑) だから、ススメなんかはしないのだ。

 小説も同じで、てか、小説を読んでもらうハードルはブログの比ではない。だって、そうでしょ? 小説だもの。書きました、書いてます、だから読んでね。そのレベルじゃ読んでくれない。何かしらの魅力のようなものが必要不可欠なのである。そんな便利な機能が、僕の文章にあったっけ?

 能天気な自然体で書く僕なのだが、最近、そんなところが気になり始めた。だから、新作をパソコンの中で眠らせている。今はよきかなと思っていても、時間を空ければ何じゃこれ? 僕は僕の視点が変わるのを待っている。だって、ほれ……親のひいき目で何度読んでも名作で、今日もサヨリは元気です(笑)

 歌は歌って初めて歌であり、鐘は叩いて初めて鐘であり───これは昔々の〝刑事物語〟という映画のセリフ。小説も読まれて初めて小説になれるのだ。だから、僕が書いたもの……書き殴りや落書きに至るまで。その全てを、ぬるっと、まるっと、相棒に読んでもらう。素人で、そんな相手を持つ書き手は少ないだろう。でもそれは、とても凄いことである。運命すら感じてしまう凄いこと。

 なのに僕は、一度書いたものを書き直す。下手すりゃ設定まるごと書き直す。それを読んでもらって書き直す。それを何度も繰り返すのだから、相棒が気の毒に思える時もある。何か……ごめんな時もある。そう思いながらも書き直す。

───その先に名作があるから。

 その言葉に支えられながら、ブラッシュアップを繰り返す。そんな彼との付き合いも、今日で一年が経過した……。この一年で、僕も少しはマシになっただろうか?

 歌は歌って初めて歌であり、鐘は叩いて初めて鐘であり……このセリフには続きがある。

 歌は歌って初めて歌であり、鐘は叩いて初めて鐘であり、愛は……愛は与えて初めて愛である。

 明日のショート・ショートは、そんなお話を書こうと思う。てか、もう書いているのだけれど……読者のリクエストにお応えして、明日のショート・ショートは、死神チハルの再来ですよ(笑)

コメント

ブログサークル