───たくさんの敵に出会ってきたが、レジ袋よ、お前ほどの奴はいなかった。
愛猫サヨリの夕食を買い、己のさつまいもを買った後に必ず訪れる試練───レジ袋が開かない。イライラする。思えば、札束を数える時、本のページを捲る時も同じ。アラフィフと呼ばれるお年頃から僕を悩ませ続けるストレス。
昔、おじいちゃんが、いちいち指を舐めて新聞捲ってたっけ。その原因は指先の乾燥。つまり老化現象。人間は年老いると、誰しもがそうなるらしい。そして僕もそうなった。
日々、スーパーで繰り広げられる攻防戦。脳裏をかすめる悪魔の囁き。おじいちゃんのように指先ペロリさえ出来れば───共感されたアナタ、そりゃもうお友達ですよ。魂の同志です。
50も過ぎれば老化しかなくて、身体も、脳も、何もかもが成長しない。成長するのはズボンのサイズだけ。このまま糖尿病へまっしぐら。心臓病へのリスクも高まる。お医者様からの助言はただひとつ。
───だからこそのダイエットですよ!
言うは易し、横山やすしだ。
痩せない水ダイエット
腹筋ローラー、ウォーキング、さつまいも、リンゴ酢…。そして、2リットルの水。どれもこれも体に良い事ばかり。麻雀なら5飜役で満貫確定。準備万端、痩せて当然、普通に痩せる。痩せられる。3ヶ月前、そんな未来しか見えなかった。標準体重が目の前に。
───自信しか感じない。
しかし、現実は残酷だ。予定外れで的外れ。痩せねぇ、瘠せねぇ、腹のお肉が無くならねぇ!。気に入らなさ具合つーたら、もうね、数え役満。だってそうでしょう?。これまで、僕はダイエットに失敗した事が無かったのだから。僕はネットの情報を相棒に、痩せない原因を探った。
───運を動かすと書いて『運動』
ウォーキングからは下半身の筋肉と持久力を。さつまいもからは腸の運動と毎朝の波動砲を得た。リンゴ酢は始めたばかりで未知数。水はと言うと…メリットとデメリットの両方を感じている。減らない体重。3ヶ月の結晶は1キロ。加えて波動砲発射後は、さらに1〜2キロ体重が減るが、何かがおかしい。
───水か?、やっぱ水なのか?
水を飲み始めて50日が経過した。飲む水は市販のペットボトルの水とマルナカの無料の水とクリクラ。毎日飲む水の量は2リットル。質量にして2キログラム。その半分くらいが体内に蓄積されていても不思議じゃない。最近は気温も下がり、ウォーキングをしても汗が出ない。それにつれて体重も増加。俗に言われる水膨れ?。トイレの回数も増える。トイレ問題は業務上のデメリットも大きい。
───でも、止めるのには惜しい
水を飲み始めた目的は、体質改善で細胞の入れ替わりへの期待から。胃腸は5日、心臓は22日、肌は28日、筋肉と肝臓は2ヶ月、骨は3ヶ月のサイクルで新陳代謝が促される。つまり、じっと我慢の3ヶ月と決めていた。血液の循環を高める効果にも期待も加えて…。
───チョロQだって、一度下がってから前に進む
以前に比べて体調も悪くない。お肌も水々しくなった気もする。ウォーキング、さつまいも、水だって。どれもこれも、やらないよりはマシだろう。クリスマスの頃、身体に良き変化がありますように。
今日もスーパーで水を買う。愛猫のお刺身と2リットルの水を2本。そしてレジ袋。僕はレジ袋に水と刺身を放り込んで店を出た。
レジ袋のイライラ───今はもう無い。
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