───僕は味噌汁が嫌いだ
家でも味噌汁、定食屋でも味噌汁、何処で食べても味噌汁。
違う違う、そうじゃない!───玉子が浮かんだ中華スープとか、ミルクたっぷりのポタージュとか、大地の恵みのコンソメスープとか。僕はそっちが好きなんだ。だってそうでしょう?、味噌汁なんてジジ臭い。味噌汁はお断り。
幼少期、少年期、思春期、青年期。ずっと『味噌汁却下』で通してきた。だって美味しくないんだもの。80年代後半から始まる飽食の時代。それと同時にバブル期へと入る。美味しんぼ、ミスター味っ子、ザ・シェフ、クッキングパパ、料理の鉄人。味の川口浩探検隊。新しい味覚こそが正義だった。
昭和、平成、令和…中年期を越え老年期に入ると好みが変わる。噂には聞いていたのだけれど、実際あるんだね、声変わりじゃなくて食変わり───「ホーラ見ろ、オジさんのいうこときかないから。なっ?オジさんの言うことは大体正しいんだよ。オジさんの80%は正しさでできていまぁ〜す」
───松平片栗粉は正しかった
若い時は体の中にあって、中年の渡り廊下を抜けると、足りない栄養を美味しく感じるのだろう。食べられなかったものが欲しくなる。僕の場合のそれは、茄子と味噌汁だった。
───未だにレーズンだけは勘弁な
ほっともっとの特製豚汁
───何これ美味い
五十路を越え、どハマりしたのが豚汁だった。
香りや舌触り、酸味、渋み、石原さとみ───全てがパーフェクト。まさしく味噌汁の上位互換。最終形と言っても過言じゃない。すき家、松のや、おくどさん。ファーストフード店に入ると必ず豚汁を頼む。それは真夏でも変わらなかった。もう、豚汁とライスだけで幸せ。ご飯三杯は楽勝だ。

そろそろ豚汁ダイエットとかの出番じゃないの?。そんな予感すらしてします。しかし、ここは香川県。香川県はうどん県。お昼の横綱はやっぱり讃岐うどん。
───キング オブ キング
しかし、コロナ禍に入ると状況が変わる。店内飲食で食する機会が無くなった。僕は外ではチームで動く。それぞれ家族があるのだから外食にはピリついた。僕らの昼食は必然的に弁当へとシフト。そう、お昼の大関ほっともっと。弁当チェーン、香川では断トツの強さを誇るほっともっと。スーパー、コンビニ、ほっかほっか亭を差し置いて圧倒的な強さだ。その強さはビルゲイツ。
───そこで出逢ってしまった、特製豚汁
冬季限定100円。
───今日になって急に視力が落ちました。 もう、あなたしか見えません。
から揚弁当に特製豚汁。ワンコインでお釣りがもらえる庶民の味方。寒空の下、熱々の豚汁に何度救われた事だろう。味噌、豚肉、じゃがいも、人参、ごぼう、玉ねぎ。それを口に含むと訪れる舌先への祝福。もうね、熱いです。直火じゃない?ってくらい旨い。
メニューの写真との違?、それは確かにそう思う。だけれども、それはドナルドの店も同じだ。ランランルー♪で気にはしない。五臓六腑で味わう準備万端だ!。
唐揚げを食べ、ライスをいただき、豚汁で胃へと流す。それはまさにバミューダトライアングルの三点食い。唐揚げは大地のように強く、ライスは空のように甘く、豚汁は海のように優しい。
───ワンコインの贅沢
今年も特製豚汁100円の季節が始まった。うどんにするか、弁当にするか───毎日、同じことで悩んでいる。明日もきっとそうだろう。ちなみに、選挙員のおやつ代は1日500円まで。少し複雑…。
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