小説って、ナンボくれる?

マウスを頭に乗せた猫
金曜日(小説の話)

 金曜日は小説の話

───小説を書いています。

 それを他人に喋らない。仲良しにも語らない。小説を書く行為に共感する人など見たことないからだ。僕の身の周りは、そんなふうにできている。読む本は漫画だけ! そんな世界で生きてきた。だから、無理して話す必要性すら感じない。だから、これからもそうだろう。僕が小説を書き始めたからつーたって、読書家の友だちが降って湧いたりしないのだ。

───ネットで面白いの見つけた!

 つーて。それが、たまたま自分の小説だとしても、ニヤリと笑って終わるだろう。それくらいが居心地よくて、今日もサヨリは元気です(笑)

 そんな僕でも、現状を伝えた人物はいる。その理由は単純で、仕事に支障をきたさぬように。仮に何かの不都合が生じても「だから事前に言ったじゃん!」つーて、カッチリ反論可能な防衛ラインを引くために。

───かくかくしかじか……で、今は小説書いていますよ。だから、迷惑かけるかもしれないね。

 端的に事実だけを伝え、経緯については語らない。だってそうでしょ? 僕の聖地が汚される。簡単明瞭にひとつだけの報告である。それだけに、こんな返しってありますか?

───小説って、ナンボくれる?

(知らんがな……)

 ゆーて、貯蓄率国内トップは伊達じゃない! 金と直結! それが香川の県民性である。それを証明するかのように、話した5人全員が同じだった。もうね……まともに話せば、やっぱり僕の聖地を汚される(汗)

───小説は金にならないよ。でも、そっちの依頼よりも可能性はあるだろうね。書き続ける限り、宝くじを買い続けているようなものだから。この宝くじ、永遠に毎日が抽選日だから。今は三作目の構想中ですよ……ムフフ♡

 含みを持たせて適当な感じで終わらせる───だから、邪魔しないでね(笑) これだけが相手に伝わればよいのである。ゆーて、あの面倒なバディでさえも「締め切りだから」つったら、オッツーのシチューくらいあっさり引き下がってくれるのだ。要望も伝えるもんだな……と、正直思う。

 でも、一度に沢山の情報を与えてはいけない。人は自分の都合よく考える生き物だから。願いごとはひとつだけ。「シェンロぉーン!!!」七つのボールで飛び出す龍への願いと同じ。言葉を飾らずストレートが正解だ。それは、去年の師走の話だった。

───小説って、ナンボくれる?

(ゆーて、そんなん知らんわ……)

 思い出したように、このフレーズが飛び出す。こじれると面倒なので、意図的に格好いいデマを流す。

「あ! ところで、新車を買おうかと思うんだけど、社長の車ってナンボでくれるん? それって、あれやろ? 手放しで運転できるヤツやろ?」

「……お、おう……」

 知ってる? 〝目は口程に物を言う〟は事実である。人は本当に驚くと、口をパクパクさせながら瞳孔が開くようにできていた。その反応が目の前に。すると、みんなが優しくなった。僕が発した言葉の中に、ウソなどひとつも存在しない。さて、この伏線。どう回収してやろうぞ(笑)

 ちなみに「お前の小説を読ませてよ?」ってな人物なんて見たことない……不思議だ(汗)

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