キッスは目にして

棒ラーメンと猫
水曜日(猫の話)

 水曜日は猫の話

 うちのにゃんこはキス魔である。

 腹が減るとキス魔に変身。隙あらば、僕の唇を奪おうとする。キスと言ってもディープな方で、今日もサヨリは元気です(笑) 猫の糸状乳頭が唇に当たると痛いのだ。糸状乳頭しじょうにゅうとう……エロい響きだ。その正体は猫の舌に標準装備されているザラザラである。猫の舌で指を舐められても痛いのに、そんなのが口の中に入ると激痛だ。昔はチューなどしなかったのに、むしろそんなの嫌がっていたのに、突如、去年の夏ごろからやり始めた。それは、老猫の気まぐれ? 新たに見つけた愛情表現? それとも、NNN(ニャンニャンネットワーク)からの指令だろうか? そうなれば、サヨリは謎の組織のエージェントということになるのだか……。

 愛猫に謎の性癖を開花させたのは……他でもなく僕だった。

 サヨリが食欲不振から脱してからというもの、こいつの食欲は、ギャル曽根か? ってくらい異常である。犬とは違って、猫はご飯を残す習性がある。若かりし時代のサヨリは、カリカリを少しだけ残していた。なのに今は、出せば出すだけ食べ尽くす。食べすぎればマーライオンになるのだから、こっちだって少なめにを意識する。つまり、腹八分目に医者いらず。彼にはそれが不満らしくて、明確に意思表示をするようになった。それは、食事の後のイベントになった。

 猫:ごわぁーん、ごわぁーん!!!

 僕:うっせーわ(笑)

 この会話が日常だ。声を出すのに慣れたのか? 日を追うごとに声のボリュームがデカくなる。けれど、情に流されると、マーライオンの可能性が否めない。心を鬼にして、少なくとも1時間の食間をあける。僕だって、いつも元気なワケじゃない。横になりたいときもある。疲れた僕が転がっていると、しれっと、サヨリは胸の上。僕の顔を睨みながらゴロゴロと喉を鳴らし続ける。ふと、口をチュッチュと鳴らしてみた。そもそもそれが、間違いの始まり。

 すると、サヨリはゆっくり僕の唇に己の唇を合わせなかった。先にやってきたのは舌であった。ザラザラがとても痛いのだ。それだけでは終わらない。あの野郎、僕の口の中に舌をねじ込もうとしやがった。もうね、「そんなつもじゃ……」ってのは、このことだ(汗)

 ちょっぴりの喜びと、こりゃ堪らん!の後悔と、可愛さ余って、おかわり追加がマズかった。その行為が、サヨリに勘違いをさせてしまったのだ。すべては僕の責任だけれど、これが常習化するとは考えてもみなかった。この歳になると、やさしさだけの言葉で十分だ。だから〝キッスは目にして〟なのだけれど、サヨリの舌が眼球に入ると思うと、おいそれと気が抜けない。つまりは、やられ放題なのである(汗)

 口チュッチュ。あれ、何て呼ぶのだろう?……何にでも名前があるのだろうけれど、ググっても見つからなかった。知ってる方がいらっしゃれば、教えて欲しいなと少し思う(笑)

コメント

ブログサークル