雨の日、イノシシに狙われて帰れなかった夜

お母ちゃんのご飯が一番おいしい
香川県・うどん・遊び場

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コロナワクチン接種2回目から体調が悪くなった。正確に言えば、仕事はしていたけれど、体調の先行きが不安で大人しくしていた。朝起きる、仕事する、帰って、トッケビを観て、寝る。記事のストックが切れるまでの数日間、早寝遅起きの悪い子で過ごす。

けれど、ついに昨日ストックが切れた。

───やばい、何を書こうか、、、何も浮かばねぇ、、、

毎日、ブログの事は考えていた。常にアンテナも張っていたし、ネタ用の写真も撮ってある。けれど、数日休んだけで脳が働かない。「1日くらい空けても良っか?」そうやって、多くのブロガーが散って行ったのだろうな。半分諦め、半分恐怖心から記事ネタを考える。考えている間に刻々と過ぎる時間。2022年、初めてのピンチ。まだ1月なのに…。

───何が何でも1記事だけでも仕上げないと

気持ちだけがカラリと回った。即席で記事が書けるのは体験談だ。けれど、思い浮かぶ話もなくて、涙腺が天元突破しそうになった時、鬼滅の刃 遊郭編のCMが目に止まる。

───嘴平伊之助、、、お前だ!

今日は、イノシシに狙われた話を書きます。

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イノシシの唸り声で三途の川が薄っすら見えた話

香川県は田舎だ。野良犬、野良猫は見なくなった。代わりに、タヌキ、アライグマ、ハクビシン、イタチ、お猿さんとは偶に山で出くわす。イノシシに至っては近年増加傾向で農産物の被害も大きい。知り合いはイノシシとぶつかって来て車が大破した。駐車中の自動車にぶつかったらしい。

───イノシシは無差別の当たり屋だ、気をつけろ!

イノシシと出会ったらゆっくりと逃げる他ない。追いかけられたら逃げ切れない。イノシシの存在はUFOや幽霊よりも怖い存在。山沿いでは気をつける。それだけで身を守る。それでだけで無事に生きて来た。弾丸のように突っ込んで来るのだから気をつける以外の方法を僕は知らない。

そこで残念なお知らせがある。

───僕の職場は山の中にあり、普通にイノシシの活動圏内

毎日がディズニーアトラクションで毎日がパターン青。ザザっと草むらから音がするたび。第一種戦闘配備の連続だ。山を舐めてはいけない。

───その日は夜勤だった、解放時刻は午後10時

午後9時。

サーっと鳴り始める音、雨だった。あぁ、、、雨か、、、嫌だな。帰りに着る雨具を広げながら外を見る。真冬なら地獄だな、、、。愚痴しか出て来ない夜だった。事務所の勝手口からガサガサと音がした。ガラス窓から小さな動物の影が見えた。

───猫さんですか?、タヌキさんですか?

最近野良猫の姿をよく見かけていた。猫だったら良いな、、、。僕は確認の為に勝手口のドアを開けて外へ出た。猫じゃ無かった。

───うぅぅうぅ

正面3m地点の草むらから唸り声が聞こえた。瞬間、事務所へ飛び込み、そ~っとドアを5センチ開く。

───うぅぅうぅ

あの小さいのはウリボウだった。イノシシの子供だった。目と鼻の先で親イノシシが怒髪天だった。世界まる見え!で、家の中に飛び込んで来る野生動物のシーンが目に浮かぶ。

───事務所へイノシシ乱入、職員重体

四国新聞の見出しが浮かぶ。パニックの中にも冷静な自分がいた。警察を呼ぶとか、片付けの事とか、ガラス屋来てくれるかなとか。もしもの事態への対応を考えていた。雨音が強くなり、外の気配が分からない。

僕は、ゴミ箱の中のペットボトルを集め、その中に水道水を入れ始めた。このままでは帰れない。だってそうでしょう?、イノシシの前に僕の自転車があるのだ。安全確認が出来なければ外には出られない。愛猫サヨリのご飯の準備が出来やしない。

───10分待とう

10分待った。事務所のドアを開けるのは危険だと判断し、事務所の隣の給湯室の窓から様子を伺う。水を入れたペットボトルを一本草むらへ投げつけた。ガサっと音がした。イノシシの気配を感じる。体長150センチくらいのサイズ感。

───絶対に勝てない

本能でそれは分かっていた。10分後、さらにもう一本ペットボトルを投げつける。イノシシの気配は消えた。だがしかし、10時まで30分残っていた。気は抜けない。石橋を叩いて渡わらな僕は慎重に慎重を重ねる。

───国道のある安全地帯まで自転車で5分

もうね、オブ・ザ・デット。

ゾンビ舐めてる人間は始まってすぐに喰われる。ふざけてるね、舐めてるのかい?、それともすごく舐めているのかい?って勢いで淘汰される。僕は30分間、息を潜めて雨の中の草むらを観察していた。

───午後10時、帰りの時間

セコムのセットが遅ければ、別の意味で面倒臭い。イノシシが唸ったその場所に3本目のペットボトル爆弾を投げつける。今ならイケる気がした。事務所の中で合羽を着てセコムの警備スイッチを入れる。スイッチを入れると30秒の間に施錠して出なければいけない。映画でありがちなシチュエーション。今が一番危ないと感じた。

合羽のポケットにペットボトル2本を入れ、僕は勝手口のドアを開く。サーーー。雨音だけが響き渡る山の中。枯れた身体が物凄い速度で動くのを感じる。全盛期が戻ったようだった。きっと、明日の朝、あちこちが痛くなるのだろうな。

イノシシの1メートル前にある白い自転車にまたがり僕はペダルを漕ぐ。自転車は一瞬で止まった。チェーンロックをしていたのを忘れていた。ゾンビ映画さながらの展開。目に見えぬ敵の存在が恐ろしい。

───雨の中で鍵を探す

ズボンの右ポケットの中。やっぱりゾンビ映画。こんな時に限ってズボンのポケットは合羽の下。雨で濡れた手を合羽の中に突っ込んで自転車の鍵を抜き出し、チェーンロックを外し、自転車を走らせ坂道を下った。

───まだ、ゾンビあるあるは終わらない

何かの拍子にウリボウを跳ねたら人生終わる。イノシシ親子が近くにいる可能性は高い。国道沿いの安全地帯までの道のりがじれったい。玉置のメロディーみたく、それだって楽しくやれない。5分の道のりを3分で激走し、国道の信号待ちで安堵し冷静に考える。

───これって、上司に報告義務あったよな…やってないけど…

翌日、上司の報告すると笑われて終わった。外で「もう、誰!ペットボトル捨てたのは!」と同僚の雄叫びがコダマした。

───ペットボトルの犯人は僕です

それを言わなかったのは内緒の話。