───だったら真犯人は?
僕の冬はワークマンのイージスありき。これさえあれば、冬の寒さなど恐るるに足らず。防寒のみならず、防水効果もある優れもの。多少の雨なら掛かって来なさい!、土砂降りでも多分イケる。
経験則がイージスへの信頼を熱くさせる。
だがしかし、幾ら有能でお気に入りだとは言え、2018年に買ったイージスも経年劣化には耐えらず、もうちょっと、もう少しと購入を伸ばして早3年。
───今年は新しいイージスを!
心に誓いワークマンへ行ったのも去年の話。しかし、出遅れた。MもLも売り切れていた。デカイのしか残っていない。いつもそうだ、いつだってそう。思い出したら時すでに遅し。今シーズンも現状維持が決定された。もはやボロボロで破けも目立つのだけれど、仕事用だから無問題。そう思ってた矢先、
───それはあかんで
物言いが入る。ぱっと見イケるけれど、よく見ると浮浪者っぽく見えるのだそうだ。あのね、今は2月。春は目の前、僅か1ヶ月だけ頑張ったら要らなくなるわけ。だったらコレで良いじゃない。僕は反論したが、そのひと言が心の棘となる。それは呪いのUber Eats。そのセリフを何度も僕の元へ配達してくる。
つまり、身なりが気になり始めたのだ。
───ホームセンターウォッチングしてこ
コーナンでトップガン
ワークマンに行けば高くても買うだろう。イージスの代用品だってあるのだろう。でも、やはりイージスが恋しい。来シーズンまで待つ他はない。コーナンで、2,000円くらだったら買ってもいいかな?。そんなぶらり散歩気分でホームセンターコーナンへ足を運ぶ。ついでにダイソーウォッチングもして帰ろう。
───これ良いじゃん、幾ら?、安っす!
セールの札の付いたジャンパーが安かった。
80年代流行ったフライトジャケットっぽかった。そう、トムさんのトップガンで流行ったタイプ。作りは全然甘いのだけれど、裏地がオレンジで、チャックが金なら見えなくもないデザイン。ワッペンでも貼り付けたら良い感じに仕上がりそうだ。耐久性への不安は否めないけれど、1ヶ月くらいしか着ないのだからこれで上出来。
決定打はお値段だった。
───セール品、1200円
翌日、おニューのジャンパーを着て仕事へ出かけた。いつ買った?、何処で買った?、幾らだった?。それは直ぐに分かったらしく、ジャンパーの話題で花が咲く。1200円という魔性のお値段に全員の目が泳いだ。
───絶対買いに行くなよな!
そくざに僕は釘を刺す。この歳で、このおっさんらと、ジャンパーのお揃いはイタイ。しれっと、ぬるっと、話題を切り替える。切り替えないと、本当に買いに行きそうな空気だった。
───でもあれだな、最近の服ってサイズが小さいのな
それは皆んなも考えていたようで、話題の中心は服のサイズへと移行した。昔だったら、下から1枚羽織っても全然余裕があったのに、今は大きめサイズを買わないとピチピチになる。90年代、急に服のサイズが大きくなった時代があった。Mなのにブカブカ。
それはアメリカのMが日本に渡って少し大きくなったのでは?。そんな都市伝説が実しやかに流れた。気のせいだったのか、そうじゃ無かったのか。真実は今でも知らない。そのイメージがおじさんたちには残っているようで、「最近の子はみんな大きいのに、服のサイズは小さくなったんかいの?」これで昼休憩の大半を僕らは失う。
最近の子らは長身でスタイルが良いから、それに合わせるとそうなるのか?。3デー立体仕上げが問題なのか?。3Dと立体って同じ意味とちゃうか?。
あーでもない、こーでもない。
───おっさんら、暇か?。
さらに話はヒートアップし、経済問題やら、ユニクロの社長の話やら、お金配りおじさんの話題へと右往左往が止まらない。そこへ、アパレル業界に詳しいオシャレさんの登場だ。奇抜な衣装で苦手なのだけれど、出会って3秒で使途襲来。
───服のサイズ、今も昔も変わってないよ
目標は完全に沈黙しました。
なんで、なんで、なんで。だってそうでしょう?、下から服が着れないし、絶対サイズ小さくなったって。何かのパラドックスに僕ら考えがまとまらない。オシャレさんは続けてこう言い放つ。「変わったのは服のサイズじゃなくて、自分のサイズだ、鏡を見て出直して来な!」
───真犯人は、腹と背中の脂肪だった
嘘でしょ?、それ、みんな知ってた。昼休憩の間に、積み上げてきた話題が台無しだ。
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