桃の摘果もバランスが大事

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桃の袋掛け
雑記・覚書き
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───ちょい、多いか?。

 桃の木の下で腕を組む。ガンバ立ちで枝を見つめる。うん、何か……違う。桃の摘果は今年で二度目。昨年は何も分からぬままに作業が終わった。二回目ともなれば、いくら僕でも知恵がつく。桃の実に9割がた袋を掛け終え、一度、下がって全体を見渡す。桃の木に対する黄色い袋がやけに目立つ。

───やっぱ、多いか?。

 桃の摘果に大切なのはバランスである。今は、ピンポン球より少し大きい実であるけれど、来月になれば、収穫前の立派な桃の形に姿を変える。摘果とは桃の実に栄養を回す役目の他に、実の重さで枝が折れないようにする役目も担っている。間引きが甘いと枝が折れる。去年の記事にも書いたように桃の枝は思いのほか脆い。事実、脚立の上でバランスを取るべく枝に触れたら見事に折れて、今日もサヨリは元気です。

 桃の枝は、乙女の柔肌くらいデリケートなのだ。あのポッキン事件以来、僕は枝に触れる事が怖くなった。そのお陰で、今年は胴部のインナーマッスルが発達した気がしている。物事は、良い方に取った方が幸せである(汗)。

「これ、どっかなぁ?、もうちょい間引く?」

 不安になると、僕は桃の奥さんに教えを請う。いつもなら、ほのぼのしている奥様だけれど、この時ばかりはヒョウの目で枝を見る。もうね、血圧計の計測結果が出る前の気分である。

「もうちょっとかなぁ、イケるかなぁ」

 どっちやねん?。

 それは毎度の事だけれど、割と曖昧な感じで作業は進む。数カ所に点在している桃畑。桃の種類も様々である。必然的に収穫前の桃のサイズも違うのだ。だから、この木にどれほどのサイズの実が成るのかを、事前に聞いていないとドツボにはまる。

───この木は大きな実が成ります。高級な桃の木です。

 今、僕が触っている桃の木は、なまら危険な桃の木だった。それを二年生が摘果していのだからどうかしている。半信半疑で作業を進める。褒めてもくれなければ文句も言われない。だから、何が正解なのかも分からない。言うなれば、雰囲気で作業を進めている。それが不安でならない。

───台風2号の影響は明日。

 それが意味する事は、今日中に終わらせなければならないという事。なのに、二人だけってどうかしている。夕方までに終わるのか?。この数日間、ずっとふたりだけで作業をしている。今日来る予定だった人も来なければ、今まで来ていた人も来ない。昨年のブログ記事と照らし合わせると進行具合は同じ感じ。それが何よりも不思議であった。

───人は来ないの?。

 そう問えば、近所の桃畑からそろそろ応援が来るのだと言う。来週には賑やかになるのだろうな。昨年の記録では10日辺りで目星が付くはず。もう一週間、ご安全にで頑張りましょう。

───明日は雨で休みだけれど(笑)。

 その前に今日の作業を何とかして終わらさないと。僕はエンジンを回し、奥さんはいつもどおり。ブンブンブンと調子を上げて、予定時刻丁度に摘果と袋掛けが終了した。上出来である。僕は仕上がった桃の木のバランスを再確認した。

───やっぱ、多いかな?。

 帰り際、気になっていた事を聞こうと思った。手伝いのおじさんを最近見なくなったからだ。元気そうに見えたのだけれど、病気とか怪我とかしたのだろうか?。

「おじさん、来ないの?」

「うん、クビにした(笑)」

 さっき、テヘって感じで随分な告白してくれたね?。てか、桃畑の手伝いに、クビってルールがあったんだぁ(汗)。

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