───昨夜の真鯛の続きである。
愛猫サヨリが仲間の釣り師から真鯛を二匹もらった。真鯛は鱗も腸も処理済みでカチカチの冷凍状態であった。保存が出来るだろうという思いやりである。昨晩は二匹のうちの大きい方を自然解凍して食べさせた。解凍している間に記事を仕上げたのが前回までのあらすじである。
───ちょっと待ってねぇ。
記事を書き上げ鯛を切り分ける作業に入る。テンション高めなサヨリだけれど、いざ食事となると分からない。食べない可能性だってある。お試しは尻尾からに決まってる。鯛のお腹よりちょい下から切り分けていつもの蒸し器に放り込んだ。僕のさつまいも御用達の蒸し器。蒸気舞い上がる蒸し器の前で、サヨリは姿勢良く鯛が蒸し上がるのを待ちわびた。「ごわぁ~ん!!!」時折、僕の睨んで催促をする。
───もうちょいだから、良い子だ。
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それにしても黒っぽい鯛である。冬はこうなるのかも知れないな…。
鯛を蒸す間にサヨリの皿を綺麗に洗い鯛が蒸し上がると皿の中に身を入れていく。もう少し、あと少し。身を剝きながら骨のチェックも忘れない。慌てて食べて骨が喉に刺さっては大変だ。みるみる白い身で埋め尽くされる猫の皿。「失礼して…」一切れ摘まむとパラダイス。ナニコレ美味しい。プリプリした身がカニっぽい。いや、むしろカニ。こんなの居酒屋で注文したらまぁまぁ取られるんじゃね?。うちの猫様は幸せものじゃ。そんな事を考えながらお父さんの気まぐれ蒸し魚をサヨリの前に差し出した。
───めしあがれ。
キャットフードとは別次元。魅惑のちゅーるだってこうはならない。一心不乱とはこの事である。ウゴウゴと小さな口が止まらない。どんどん食べる、止まらず食べる。それは呼吸するのを忘れているかのよう。最後はいつものミルクで〆る。
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キミは美味そうに喰うね…。諦めた、愛猫の満足げなドヤ顔に悪魔の囁きは霧と消えた。こんなの見せられたら僕のプロジェクト鯛飯だってお蔵入り直行便である。そうする事であと数日、このドヤ顔が見られるのならお安いものだ。全米は泣かずともお父さんは泣けるから。他の仲間にも鯛の事を頼んでおかないとな…春はすぐそこ。釣りシーズンも目前である。翌日、つまり今日、つい今し方。真鯛をくれた仲間に状況を話してお礼を言った。ありがとう。
「ンゴ、ンゴ喰ったか?」
「ンゴ、ンゴ喰った!」
「どっちから食べた?」
「でっかい方から」
「そりゃ食べ応えあったな、チヌは」
「チ・・・チヌ?」
サヨリはチヌ(黒鯛)も蒸したら食べます(汗)。
まだまだあるよ、今夜もたくさん召し上がれ(笑)。
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