釣れた真鯛が今宵の猫の晩ごはん(前編)

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うちの猫の話

───愛猫サヨリは食にうるさい老猫である。

ウゴウゴと、あんなに食べてたまんぷくパウチ。日が変われば気も変わる。気に入らなければ口さえ付けない。好物のちゅーるを混ぜてあげても背を向けるのが不思議です。小手先だけのシェフの気まぐれサラダが通用しない。それならば、お母さんのきんぴらゴボウくらい腕を振るうまでである。お湯とミルクと愛情を加え、魂で固さと温度を微調整。そんなひと手間を加えると殿も納得。

───さあ、召し上がれ、召し上がりやがれ!。

それが失敗に終わった時の絶望感たるや、全国のお食事当番のみなさまお疲れ様です。いつもそう、いつだってそう、そんな時の切り札が魚の刺身。とは言えこの物価高である。そんな高級食材を毎日出せるわけも無くて、今日もサヨリはお殿様。ぶらり散歩気分じゃ手も出せない。お前、いつから海原雄山になったのか?。そんな気にもなってしまう。

さてどうしよう?。

殿様に刺身を与えると後が困る。勝手に次も刺身だと決め込んでしまう。可愛いの暴力で僕を見つめる。我が儘も脅迫である。何故だろう?、どうしてだろう?、食感が悪いのだろうか?、焼いても、蒸しても、お願いしても、僕の気持ちは届かない。火を通した魚は舐めてもくれない。ボラという魚の別名は「猫またぎ」であるのだけれど、サヨリにとって焼いた魚も猫またぎ。つまり、僕にとっては不経済。冷蔵出来きない、買い置き出来ない、お得パックがお得にならない。それが刺身の致命的な弱点である。そんな中で発見した事例があった。蒸した鯛をサヨリは刺身くらい喜んで食べたのだ。それは昨年の1月の出来事である。そこでひらめく、鯛なら仲間にもらえる可能性大!という事を。瀬戸の釣り師を舐めてはいけない。

───「うちのニャンコは鯛なら食べるよ、釣れたら鯛くれろ!」

そう釣り人らに情報を流したのが去年の1月9日(過去記事参照)。でも、あれから鯛は姿を見せなかった、一度もである。そんな事など忘れかけてた一年後、二匹の真鯛が目の前に。釣り人のひとりが、海に出た。昨年の僕の叫びを思い出して、わざわざ鯛を持って来たのだと言う。

ありがてぇ。

釣り人からの情報によると、船で海に出たのは2月4日(土)。天候は薄曇りで14時頃から波が高まる。針を落とした時間帯は12時~15時の間。ポイントは小豆島近郊の沖合。深さは60m地点。餌はエビでは無くサビキ(疑似餌)。競合の船舶の姿なし。見せてもらった釣れた鯛を写真で見た限り、手のひらサイズよりも30センチクラスが多く船の上で寝ていた。断片的だけれど瀬戸内釣り情報である。

何事も伝えておけば良いこともあるものだ。待った甲斐があった。ありがとう、喜んでころこんでいただきますよぉ、うちの猫が。デスクに並べたカチカチの鯛。諺では、エビで鯛を釣ると言う。その鯛でニャンコが釣れた。片方は手のひらサイズで、もう片方は30センチくらい。去年の記憶を思い出したのだろうか?。いつになくハイテンションなお爺ちゃん。そのあと我に返って鋭い眼光で僕をにらむ。あまり知られてはいませんが、猫は人間に視線を送って指令を出します。今回の指令は、早く喰わせろ…。

───はい、はい、はい。

今夜のディナーは鯛の蒸し焼きにございます。

さて、この鯛は何日分くらいあるのだろう?…3~4日は十分イケそう。先ずは、一食分ずつデカいのを切り分けよ、毎回、切るのも面倒だから。いざ鯛に包丁を立ててみると、冷たい、そして固い。定期的に釣り師たちから鯛が供給されるのなら、出刃の1本でも買っておこうかとマジで思う。ついでに情報も流してみよう。

───鯛は切り身でお願いします…と。

鯛を切り分け、今宵の本丸をコタツの上に。事務所のコタツは有能なのか弱点なのか天板が熱くなる。調子が良ければ30度くらいに熱くなる。サヨリの床暖房の代わりにもなっている。今の感じなら、2時間もあれば自然に解凍されるだろう。だがしかし、猫は待てが出来ない生き物である。恨めしそうにサヨリは僕と切り身を交互に見つめた。普段は視線すら合わそうともしないのに。

鯛の魅力、恐るべし。

───食べさせないとは言っていない、出来るまで待ってくれと頼んでいるのじゃ。

口頭で何度か説得を試みる。気持ちが通じたのか諦めたのだろうか。サヨリは膝の上でゴロゴロと喉を鳴らし始めた。待つ気になったようである。それは、ご機嫌さんのゴロゴロであった。鯛が切り分けられる固さになるまでポメラを開こう。そして記事を書き始める。邪な気分が心を過る。少し味見をしてみたい。悪魔の囁きは時として天使の声に聞こえるもの。サヨリの背中を撫でながら、静かに僕はほくそ笑む。

───米を炊こう!。鯛飯を作るのじゃ!。

記事を書き始めてから1時間後、ちょうど今。良い感じに鯛仕上がる。膝の上から殿を下ろして、殿の宴の準備を始める。いつもならコタツの中へ直行の場面。けれども足下からの殿の頬ずりが止まらない。宴の開宴時刻は30分後というところ。如月の長き夜はこれからである…。

この続きは、また明日(笑)。

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