───サヨちゃんだろ!、ボコボコ穴掘りやがってwww。
冬野菜の種をまきに来ただけなのに、四日ぶりの畑で噛みつかれる。玉ねぎは順調で師匠のご機嫌は斜め45°の半笑い。
「何処が?www」
「まわり見てみぃ、穴だらけやwww」
ため池の土手、道路の脇、師匠の桃畑。どこもかしこも穴だらけ。師匠の畑のワイヤーメッシュがねじ曲がる。もうね、フラッシュバック。秋の惨事が目に浮かぶ。
───イノシシ、来襲。
「ワシちゃうし、イノシシやしwww」
「サヨちゃんしかおらんやろ?。こんな事するの!。イノシシだってそこまでせんわwww」
「つーか、この辺全部やん。うちの畑を除いてなwww」
「wwwちゃうわ、アホ!」
アホの言葉を言い残し軽トラで走り去る師匠を見送った。毎度、毎度、畑に来るたび月光仮面の如く現れるけれど、どっかで隠れて見てるの?。好きなの?。この前、デートの誘いを断ったの怒ってる?。
───いくら何でもそこは無理。
「サヨちゃん、一緒にドライブ行こ」
そんなぶらり散歩気分で誘って良い場所じゃ無い。だってそうでしょう?、行き先訊いたら北海道。本気だからたちが悪くて、今日もサヨリは元気です。
「北海道て、でっかいどうの?」
「うん」
「北の国からの」
「うん」
「車でぇ~?」
「うん、行こう!」
「ごめん、ごめん。ついさっき、僕のパスポートの有効期限が切れましたwww」
って断った。僕もそこまで暇じゃ無い。あの日から師匠の顔は見てないけれど、仲間内の四、五人で北海道へ出掛けた話を小耳に挟んだ。良いなぁ〜カニ。値上げの冬に優雅である。
───それはそうと弱ったねぇ、囲まれてる。
イノシシの足跡から追跡調査。僕の畑以外は、ぬるっとまるっと掘り返されている。それはまさにイノシシ・ザ・デット。やつらはそのうちきっと来る。山の貞子の魔の手から、じゅんこ、ももえ、まさこを守る。足跡を見つめて策を練る。
───合戦の狼煙が天に昇った。
人間とは不思議な生き物である。危機的状況にほくそ笑む。少しワクワクしている自分に気づく。次はどんな嫌がらせをしてやろうか?。
よその畑はワイヤーメッシュでガチガチに固める剛の拳。僕のはネット主体の柔の拳。イノシシは害獣ネットを噛みちぎり侵入を試みる。けれど、二重、三重とネットを垂らしておくと、案外入ってこれないようだ。僕も毎回、畑に入るのが面倒くさい。
───イノシシだってそれは同じ。
とは言えマズい箇所もある。そろそろ鶴首かぼちゃの目隠しが無くなるだろう。そこがそのままウィークポイント。ここには師匠にもらった網を使おう。年末年始は金が要るからあるもので対処する。
師匠にもらった古い網。引っ張ると切れてしまう軟弱な網。けれども幾重にも重ねて地面に置いとくと、足に絡まって面倒臭くなるのは体験済み。
───どれだけの人間が僕の畑で転んだことか。
これならイノシシだって嫌がる筈。秋の大祭、芋堀りも終わりイノシシの脅威から解放されたと思った筈の奇襲攻撃。来年はワイヤーメッシュを10枚ほど追加しようと思う。今年、勢力を伸ばしに伸ばしたカボチャの場所に、縦に並べてカボチャの蔓を這わせるつもりだ。
───そうでもしないと、カボチャに場所ばかりを取られてしまう。
愛猫サヨリの使用済みの猫砂も柵の周りにばら撒いて置かないとデス。なんだかんだで気の抜けない冬である。
あ、師匠に北海道土産の催促忘れた(笑)。




コメント
猪対策、己の何かに火が付きませんか?。もう最近はね、来れるものなら来てみろ!こっちも本気でやるからな!って。やたらと闘志が湧いてきます(笑)。ところで、ピーチ師匠達。香川から北海道?車で?、それ普通の乗用車?、フェリーで行くの?、何日かかるの?。ついつい、質問責めにしちゃいます。とっても、楽しそう!(笑)。
畑の周りは穴ポコだらけ、ウチだけが無傷で耐え忍んでいます。猪への嫌がらせを画策しつつ、プランを練っているところです。北海道は多分、フェリーで行ったのだと思います。フェリーと高速を使えば1日で移動可能なのだとか。サヨリさんがいるから、僕はお泊まり旅行には行けません。ああ見えて色々と難しいニャンコですから(笑)。