じゅんこさん、ご指名です!。

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アイドルじゅんこ
自家菜園

――ピコーっ!、ピコーっ!……。

 雨上がりの夕暮れ時、けたたましく僕のスマホが鳴り響く。僕は電話が嫌いである。いい話などまるで無いから。たまにはさ、もうけ話のひとつでも欲しいのだけれど、僕のスマホにはそんな便利な機能は無いようだ。ため息交じりに着信者の名前を見ると、知り合いの社長であった。おじいちゃん、何の用?。

「この前はありがとうで」

「ははははは……何が?」

「玉ねぎ美味しかったわ」

「どういたしまして(汗)」

 そこから入金の日取りと、予定していた現場の日時が変わった事を知らされる。とは言え、現場の日取りが変わるのは日常の事である。問題ない。僕のスケジュールと照らし合わせて不都合な真実が無いことを確認し約束を交わす。(もう、変更しないでね……)の念を込めて。でも、結局のところ本丸はいつマネーを持って行こうかという相談であった。

「な、な、な……明日、持って行こうか?」

「明日なら僕がそっちに行こか?」

 人間レベル齢七十をとうに越えた。そんな後期高齢者にわざわざご足労を掛けるわけにはいかない。僕のところに来たい気持ちも分かる、てか知ってる。サヨリさんの顔が見たいんでしょ?。頭を撫で撫でしたいんでしょ?。もうね、うちのサヨリは地味に人気の高い猫だから。当店、ナンバーワンの猫だから。でも、こっちにも都合ある。明日は無理。

「来てくれるか?、来てくれるんか?」

「行ってあげるよ、そっち方面についでもあるし、帰りにうどん屋でお昼ご飯を喰いたいし」

「ほんとか、ほんとに来てくれるんか、はぁ……」

いやはや残念そうな声である。僕の事務所に来たい気持ちが手に取るようだ。でも、社長が来たら話が長くなるから。断じてこちらから足をお運びします!。

「行くから、行くから、午前中に会いに行きます。その後でうどんを食べて帰るわ」

「ほんだらな、ほんだらで、玉ねぎくれるか?」

「は?…あるけど…」

畑のアイドルじゅんこ

 なにそのシフトチェンジ?。お目当てはサヨリさんだけじゃなかったのね。うちのじゅんこもお目当てか?。じゅんことは玉ねぎの品種名である。正式名称は「アイドルじゅんこ」。既にお気づきの方もいらっしゃるだろうけれど、「アイドルじゅんこ」の他に「ももえ」も「まさこ」も種市場には存在する。懐かしの花の中三トリオ。昭和のスタ誕世代の心を揺さぶるネーミングである。

 僕らの世代なら聖子と明菜が鉄板アイドル。あと十年もすれば、世代交代でサカタのタネから出そうな気もする。もしくは、ひろこ、ともよ、やすこの角川三姉妹というところ。とは言え、花の中三トリオの知名度には劣るであろう。僕はこのネーミングセンスが大好きだけれど、そう考えればアイドルシリーズはこれで終わるのかも知れない。それが少し寂しい気もする。

「もう食べたんか?、社長。いっぺんに食べると腹こわすで?」

「うまいんや、玉ねぎがうまうんや。スライスして、鰹節と混ぜて食べるとうまいんや。ビールと合うんや……」

――そんな事を言われては、「バンザーイ、無しよ」とも言えないな……。

「分かった、分かった。雨も上がった事だから、明日、畑で玉ねぎ抜いてから行くわな。玉ねぎ持って行くからな」

「そっか、そうしてくれるんか?。ほんだらの、玉ねぎ代も準備しとくからなっ!(喜)」

「玉ねぎ代は要らんで(汗)」

ど素人が育てた野菜如きで金など受け取れるわけが無い。だったら、次もお仕事まわしておくれ。

――じゅんこさん、三番テーブルご指名です(笑)。

コメント

  1. 初めての玉ねぎも大成功ですね。すごいなぁ~。オニオンスライス、僕の定番はポン酢です。そこにごま油を回しかけたり海苔を入れたり。時々はポン酢+マヨネーズとかも。生で食べて美味しいけど、桜エビと一緒にかき揚げも好きです。なんか、お腹すいたなぁ…(笑)

    • じゅんこは我ながら上出来でした。まさことももえもこの調子で育って欲しいものです。コンパニオンプランツで植えたアカツメクサが花を赤い咲かせたら映える事でしょう。玉ねぎ栽培も後半戦。これからが本番です!。新玉と桜エビのかき揚げ、うどんに乗せたら罪深き味になりますね(笑)。

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