蒸し器の中で焼き立てに蘇る食パンレシピ

♪朝はパン、パン、パ、パン。食パンは朝の風を運んでくれる大切な存在です。バター、ハチミツ、そしてジャム。今日は何を乗せようかと想像しながら食パンをトースターにセットする方も多い事でしょう。私の場合、食パンをセットするのはフライパンです。

ある日、フライパンで食パンを焼いてみると唸るほど美味しかったのが始まりです。小麦色に焼けたパン生地にそそられる食欲。口に一切れ含んだ瞬間。サクッという軽快な音と共に、お焦げの向こう側でフワッとした小麦ちゃんのお出迎え。

それはどんな時間に帰っても、必ず出迎えてくれる愛猫サヨリの「ア、アッ！（お帰り）」にも匹敵する幸せでしょう。そうして得られる至福の瞬間にこそ、私は真に食パンを味わっていると感じるのです。

先日、スチームクッカー（蒸し器）のレビュー記事を読み返しました。1年前に書いた記事です。過去の自分の記事を読み返すと、私はひとつの衝動にかき立てられました。「食パンって蒸せるの？、出来るの？食えるの？…やれるのか？」

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ネットで調べてみると、食パンを蒸すと焼き立てのパンが味わえるというレシピが目に止まりました。素晴らしい魔法の発見です。蒸し時間はたったの１分。失敗すれば水蒸気でグチャグチャ。ならば、試してみるのが男の子です。

ちなみに、猫の香箱座りを英語にすると「cat loaf（一塊のパン）」と呼ばれるそうです。香箱で慣れ親しんでいる言葉なので、パンと言われると似てるような、似てないような…。一斤のパンと並んだ写真は昔のものですが、今でもお気に入りの一枚です。

Pascoの超熟を蒸してみた

山崎、敷島、武蔵野、神戸屋…。私は食パンメーカーに拘りはありません。その日の気分でカゴに入れるブランドは変わります。時には有名パン屋さんの食パンだって購入します。今回は、たまたまストックされていたPascoの超熟を蒸してみます。少しドキドキします。

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私が所有するスチームクッカーはAmazonからやって来た魔法の箱。ブロッコリーが苦手だった私が、蒸したブロッコリーなら美味しく感じるのですから本物です。早速、準備の整った蒸し器の中に超熟を一枚入れるとぴったりサイズ。食パンを蒸すという想定があったかのように収まりました。嬉しい誤算です。

1分後。100度に熱せられたスチームの海の中から取り上げた超熟は、指先の感触からも伝わるほどの柔らかさ。フニャフニャとモチモチが渾然一体となって２度目の産声をあげているかのようです。こんにちは赤ちゃん。いただきます超熟。

いつもなら100円のカップジャムを使うところですが、今日は特別にアヲハタの55ジャムを塗ります。高級品です。パンの中心部へスプーン一杯だけジャムを盛り付けました。気合のBGMは「アンパンマンマーチ」。そのリズムが心臓マッサージに適していると話題にもなった名曲です。

目で見て、鼻で嗅ぎ、舌で味わい、脳で楽しむ。それはパンも同じです。誰の足跡も残されていない。新雪のようなウェディングホワイトのパン生地。そこから立ち昇る湯気が食欲をそそります。そこはかとなく漂う小麦の香り。強すぎない風味は心を豊かにしてくれます。パンを一口サイズにちぎるだけで指先に伝わる柔らかさ。固い耳でさえ内相と変わらない感じが面白いです。

それを口に含むと訪れる舌先への祝福。焼き立ての食パンを食べた経験は無いのだけれど、生まれたての食パンの味に近いものだと確信しました。蒸し器によって発せられた水蒸気。それがたとえ水道水でも、冷えれば純度の高い蒸留水へと姿を変え食パンの中に染み込んでゆきます。

蒸留水を含んだパンは本来あるべき姿に蘇ります。弾力があって、柔らかくて、もちもちでモッチモチ。私には、美味しく無い要素が見つかりませんでした。ひとつもです。遊で始めただけのに、本気の恋に落ちたような。そんな気持ちになるのも不思議です。

あの日、フライパンで焼いた食パンに唸った感覚。蒸し器で蒸した食パンは、それとは別の感動をもたらしてくれました。同じ材料で違う食感。それは大きな発見で、食パンを飽きずに美味しく頂けるという事に繋がります。コストパフォーマンスも重要なファクターです。

それでも、アンパン、ジャムパン、カレーパンへの浮気心が働くでしょう。それは避けては通れ無い道。人間は魔がさす生きものです。ですが、健康、コスパ、ダイエットの視点から見れば、選ぶべきは菓子パンでは無く食パン。

蒸し器で蒸した食パンは、みんな大好きメロンパンの誘惑から私を遠ざけてくれるでしょう。正しいの文字は「一旦止まる」と書きます。魅惑の甘味に負けそうになった時。一度止まって食パンを想い出します。正しい選択を心がければ、私の血糖値も少しは下がるのかも知れません。

『キジとら』は昭和感満載の雑記ブログです。ノスタルジックな言い回しが多数出現しますが暖かい目で見守って頂ければ幸いです。無駄に記事数だけは多いので暇つぶしには最適ですよ、たぶん…（笑）